スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
第Ⅱ部の続きです。今日は第22章「覚えさせない仕組み」です。
先週の第21章では、マニュアルを迷った時に戻る場所として置く話を書きました。今日は、その土台にある考え方です。人に覚えてもらう前に、覚えなくても済む置き方を考えたか。
「覚える」は大事な力です。それを否定したいわけではありません。ただ、そこに頼りすぎる職場は、気づかないうちに誰かを追い詰めていることがある。そんな話です。

三つの言葉が出始めたら
「まずは覚えて」
「一回教えたよね」
「前もやったでしょ」
この三つは、現場で何度も聞きましたし、僕自身も何度も口にしました。そして今は、この言葉が出始めた時こそ、人ではなく置き方を見る合図だと考えています。
言った側に悪気はないのです。ただ、言われた側はこう受け取ります。自分は覚えが悪いのだ、と。

覚え方には、人ごとのペースがある
何回で身につくかは、人によって違います。それ自体は、ごく普通のことです。
問題は、そこに「前も言ったよね」が重なった時です。萎縮すると、頭は余計に働かなくなります。その結果、また聞き返される。聞き返されたらまた萎縮する。
この輪をほどくのに、記憶力を鍛える必要はありません。輪のどこかを、設計で切ればいいのです。
ここで責められるべきなのは、覚えられなかった人ではありません。覚えなくても済むようにしていなかった、置く側のほうです。この見方に変えるだけで、後輩への声のかけ方も、自然と変わっていきます。

毎回同じことなら、頭の外に置く
考えたのは、毎回同じ順番、同じ確認、同じ注意点なら、人の頭に入れておく必要はないのではないか、という問いでした。
だから受付の流れは図にし、確認項目は一覧にし、迷いどころは分かれ道の形にし、お客さまへの言い回しは例文として横に置く。見えるところに答えがあると、人は驚くほど落ち着いて動けるんですよね。「覚える」から「見る」へ、という切り替えです。
暗記や勉強そのものを否定したいのではありません。ただ、頭は本当に考えるべきことのために空けておきたい。

家の中にある、覚えなくていい仕組み
身近な例で考えると分かりやすいかもしれません。
玄関に鍵を掛けるフックを付けると、「鍵どこ?」が消えます。冷蔵庫に買い物メモを貼ると、「何を買うんだっけ」が消えます。家族に「覚えておいてね」と頼むより、置き場所を決めるほうが、ずっと確かです。しかも、誰も嫌な思いをしません。
職場でも同じです。覚えさせる努力を重ねるより、見える場所に置く工夫のほうが、長く効きます。
覚えられない自分を責めるより、置き場所を決めるほうがずっと健全です。そして、この考え方は、新人を迎える側にも、迎えられる側にも、同じようにやさしいのだと思います。

研修の時間の使い方が変わった
本には、アキラが新人研修のやり方を変えた話も書きました。教える時間を減らし、残りは手元にシートを置いて、実際にやってもらう形です。
住まい119のエアコンクリーニングでは、現場の手順を持ち歩けるシートにしています。新人が初めて一人で作業に入る日も、手元に答えがあれば、慌てずに済みます。
考えなくていいことが減ると、考えるべきことに力を回せます。見る仕組みが整った現場では、新人の「えーと」が減り、表情にも余裕が出てくる。これは、何度見てもいい光景です。目の前のお客さまの表情や、空気の変化に気づく余裕も、そこから生まれます。人にしかできない部分に、頭を使ってもらいたいのです! 手順の暗記に使っていた力を、お客さまへの思いやりに回せるなら、それがいちばんいい使い道だと思います。

敗北宣言だと思っている
本の中でいちばん強く言ったのは、この一言です。
「「覚えろ」は、設計の敗北宣言だと僕は思ってる。」
少し厳しい言い方ですが、今も変わりません。うちの店で「覚えて」が口から出そうになった日は、人の頭より先に、置き方を見直す合図です。誰かを責めたくなった時ほど、紙や図やメモが足りていたかを、僕は先に振り返ります。
明日は第23章「ベテランを、神にしない」。優秀な人ほど、先に壊れてしまうという話です。
本はBOOKのページに。お客さま向けのご案内はよくある質問にまとめています。
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