スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
朝、船首に立って、正面の海を眺めていました。
6年前の9月13日です。

雲の切れ間から朝日が差して、海の上に光の道ができる。まだ暗い藍色の海に、太陽の光だけがまぶしくはね返っていました。
揺れる船の上で前を向くときは、片手でどこかをつかんでおくのが基本です。景色に見とれていると、波ひとつで足をとられます。
港を出たときの、エンジンの低い音と潮の匂い。あれは何度乗っても、いいものです。
今日は趣味の回。朝早く船で海へ出て、ルアーで釣りをした一日の話です。
日が昇ってすぐ、もう海の上
9月の沖縄の日の出は、朝の6時半前。日が昇ってまだそれほどたたないうちに、もう沖にいました。
この日走っていたのは、宜野湾から北中城のあたりの海です。陸から見ると見慣れた町なのに、海の上から振り返ると、ずいぶん違って見えます。いつも車で走っている道路や建物が、小さく横に並んでいる。地元の町を沖から眺めるのは、船に乗る楽しみのひとつです。
宜野湾は、海沿いに大きな公園や浜があって、夕方になると散歩する人や走る人でにぎわう町です。陸にいると、海は「眺める物」。船に乗ると、今度は町のほうが「眺める物」になる。立場が入れ替わるのが、なんだか面白いんです。
朝の海は、昼とはまるで色が違います。光が低い角度から来るので、海は暗い藍色に沈んで、光の当たる所だけがまぶしい。
朝の海は、静か。
まだ日差しがやわらかいうちに、藍色の海の上を走って、少しずつ高くなっていく太陽を正面に見ながら、今日はどんな一日になるかなと考えている時間は、釣れる前から、もう半分くらい楽しい時間です。
船の上では、ライフジャケットは必ず着る。小さな船では、着ることが決まりになっています。朝の海がどんなに穏やかでも、ここは省かない所です。
9月の沖縄は、まだ台風の季節でもあります。出る前に天気と波の予報を見て、無理な日は出ない。海の上の判断は、港を出る前にほとんど済んでいます。
この日は、そういう心配のいらない、穏やかな朝でした。
いい朝でした。
航跡を背に、ピンクのルアー
船が走り出すと、後ろに白い泡の道が残ります。航跡です。その白い道を背に、ピンク色のルアーが朝日に光っていました。

船がまっすぐ進めば、航跡もまっすぐな白い道になる。向きを変えれば、白い道も曲がる。後ろを振り返ると、ここまでどう走ってきたかがひと目で分かります。この白い道を眺めているのが、僕はけっこう好きです。
朝の光の中で見ると、ピンクはよく目立つ色です。

竿には、黄色とピンクのルアーを並べてつけました。
ルアーは、小魚やイカに似せて作られた疑似餌です。形と色と動かし方で、生きている餌のように見せて魚を誘う。小さな道具ですが、よくできていると思います。
ルアーの色には、正解がひとつではありません。だから何色か用意しておいて、反応を見て替えていく。釣りをする人の道具箱にルアーがどんどん増えていくのは、だいたいこのせいです(笑
ピンクと黄色。海の青の中に置くと、どちらもぱっと浮かび上がります。朝の海に派手な色を並べると、それだけで少し気分が上がる。釣りの道具は、見た目の楽しさも込みで選ぶ物だと思います。
昼前に魚、午後は箱の中
昼前、赤みのある銀色の魚が上がりました。
朝に出て、昼前に魚。ここまでで、もう半日近く海の上にいます。
沖縄の魚は、本土の方が見ると驚くほど色が鮮やかです。赤、青、黄色。魚屋さんの店先に並んだ魚を見ると、ここは南の海なんだなと、地元の人間でも改めて思います。
午後には、箱の中に黒っぽい魚が並んでいました。

箱のふたを開けて、中が少しずつ埋まっていくのを見るのは、船釣りのいちばん分かりやすい楽しみです。
朝のうちは空っぽだった箱が、午後には重くなっている。持ち上げたときのずっしりした手ごたえで、その日の海の機嫌が分かります。この日の海は、ずいぶん機嫌がよかったようです(笑
9月の沖縄は、本土ではもう秋の入り口でも、こちらはまだ真夏の続きです。海の上は照り返しもあって、陸よりずっと暑い。それでも、潮風が吹いている分だけ、町の中のアスファルトの上よりは過ごしやすい気がします。
沖縄では、9月に入っても海の季節がそのまま続きます。泳ぐ人も、釣る人も、まだまだ海へ出る。本土の方が秋の服を出し始めるころ、こちらはまだ半袖で日焼け止めを塗っています(笑
午後の海と、遠くの島
午後、遠くに小さな島と、緑のある島が見えました。

海は、朝とはまるで違う明るい青緑になっていました。日が高くなると、光が真上から海の中へ入って、浅い所ほど色が明るくなります。
島の緑と、そのまわりの浅瀬の明るい色。サンゴ礁に囲まれた、沖縄の島らしい色です。

海の上に、小さな島がぽつんと一つ。沖縄の海には、こういう小さな島があちこちに浮かんでいます。船で近くを通ると、陸からは見えない島の裏側まで見えて、ちょっと得をした気分になれる。
朝の藍色から、午後の青緑まで。一日で、海の色がここまで変わりました。
島を眺めながら、ゆっくり走る。急ぐ理由は、どこにもありません。
今思い出しても、あの青緑はいい色でした。
早く動いた日は、一日が長い
この日は、朝にはもう沖、昼前に魚、午後には島の景色。
朝が早かったぶん、午後の時点で、ずいぶんたくさんのことが済んでいました。
早く動いた日は、一日が長く使える。
当たり前のことなんですが、海の上の一日だと、それがよく分かります。
釣りの日の朝は、不思議と早起きがつらくない。そういう人は多いと思います。好きなことのためなら、目覚ましより先に目が覚める。子どもの遠足の朝と同じです(笑
仕事の日も、たぶん同じです。朝の最初の1時間で、その日の流れがだいたい決まる。最初に一つ片付いていると、昼からの時間に余裕が出ます。
朝の1時間は、電話も来客もまだ少ない時間です。段取りを考えたり、前の日の残りを片付けたりするには、一日でいちばん静かな時間です。
早起きは三文の徳、と言いますが、海の上だと三文どころではありません(笑
朝の1時間を先に使ってしまうと、残りの一日が、おまけのように軽く感じられます。午後に、島を眺めているだけの余裕がある。早く動いた日の午後には、そういう時間が残っています。
急がない。でも、遅れない。
日差しの強い季節ほど、朝の涼しい時間は貴重です。その時間を、海の上で使った一日でした。
船の上の話は、前にも7年前の10月の回で書きました。あの回は夜中のリールと海の上のそば、今回は朝日の海から。同じ船の上でも、一日の始まり方がずいぶん違います^^
明日は第28章「責任の所在を、曖昧にしない」。「それ、誰が決めたの?」で全員が黙った日の話です。
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