スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
改造図鑑、第15回。今日はPlayStation Vitaです。
ソニーの携帯機としては、これが最後の本気でした。
そして僕にとっては、「画面ってここまできれいになるのか」と初めて思った機械です。

2011年、有機ELが手のひらに来た
発売は2011年12月17日。価格は24,980円(3G版は29,980円)。
このとき僕は14歳。誕生日の12日後です。中学2年。
Vitaを初めて見たときの衝撃は、はっきり覚えています。
黒が、黒い。
それまでの液晶って、真っ暗な場面でも画面がうっすら灰色に光っていたんですよ。バックライトが後ろから照らしているので、完全な黒にはならない。
Vitaの有機ELは違いました。黒い部分は、本当に何も光っていない。
なんで黒が黒くなるのか
ここは修理屋として説明させてください。仕組みが根本的に違うんです。
液晶は、後ろにライトがあって、手前のシャッターで光を通したり遮ったりしています。シャッターを閉じても、光は完全には止まらない。だから黒がうっすら明るい。
有機ELは、点ひとつひとつが自分で光ります。だから黒を表示するときはその点を消すだけ。何も光らないので、完全な黒になる。

これ、今のiPhoneでもまったく同じ話です。有機ELのモデルは黒がきれいで、暗い場面で電池も食わない。
2011年に、その体験が手のひらに来ていたわけです。
そして画面が広かった
5インチ、960×544。PSPの480×272のちょうど4倍のドット数です。
あと背面タッチパッドという変わった機能もありました。本体の裏側を指でなぞると操作できるやつです。
正直に言うと、これはあまり使われませんでした(笑) 持っているときに勝手に触ってしまうんですよ。
ただ、発想としては面白かったと思います。画面を指で隠さずに操作したい、という課題への回答でしたから。
本題:あの専用メモリーカード
Vitaの話をするとき、これを避けては通れません。
専用メモリーカードが、高かった。
Vitaは、普通のSDカードが使えません。ソニー独自の専用カードだけです。
しかもこれが、当時の感覚でもけっこうな値段でした。本体を買ったあとに、カードでさらに出費が必要になる。
中学生にはきつかったです。ソフトより先に、カードで悩むという(笑)

なぜ独自にしたのか
推測を含みますが、理由としてはこのあたりが挙げられます。
- コピー対策(独自の仕組みにすると中身を守りやすい)
- 速度の確保
- そして、アクセサリーとしての売上
気持ちは分かるんですよ。商売として、本体だけでは利益が出にくい世界ですから。
でも結果として、買う人のハードルを上げてしまった。
これ、前回のPSP goの話と、根っこは同じだと思っています。
技術的に正しくても、買う人の気持ちを外すと届かない。
今のスマホでも同じ議論があります。独自端子か、共通端子か。専用アクセサリーか、汎用品か。
うちの店で修理していても、汎用品が使える機種のほうが長生きするのは実感としてあります。部品が手に入るので、直せるんですよ。
この時代、何を遊んでいたか
ペルソナ4 ザ・ゴールデン
Vitaといえば、これを挙げる人が多いと思います。据置機の名作を、持ち歩けるようにしたもの。
とんでもないボリュームで、通学時間が一瞬で溶けました。
Newラブプラス / うたわれるもの / 討鬼伝
Vitaは「じっくり遊ぶゲーム」との相性が抜群でした。画面がきれいで、文字が読みやすい。
今思うと、Vitaはひとりで遊ぶ機械だったのかもしれません。PSPのモンハンみたいな「集まって遊ぶ」文化とは、少し違う方向に行った。
そして、リモートプレイ
これは書いておきたいです。据置機のゲームを、家の中でVitaの画面に飛ばして遊べた。
テレビが家族に占領されているとき、自分の部屋で続きができる。中学生には、これが本当にありがたかった(笑)
今スマホでゲームを配信して遊ぶのが当たり前になりましたが、あれの走りです。
今、Vitaが壊れるとしたら

1.バッテリーの膨張
毎度おなじみですが、Vitaは内蔵電池で簡単には外せません。
膨らむと画面が浮いてくるので、見た目で分かります。画面のふちに隙間ができていたら、それは電池です。
そのまま使うと画面が割れます。早めに相談してください。
2.有機ELの焼き付き(1000型特有)
これは有機ELならではの症状です。
同じ画面をずっと表示していると、そこが薄く残る。
体力ゲージやメニューの枠など、動かない部分が焼き付きやすい。長時間同じゲームをやり込んだ個体だと、うっすら跡が見えることがあります。
ちなみに2000型は液晶に変更されました。軽く薄くなり、電池も長持ちするようになった代わりに、あの黒の深さは失われた。
どちらが good かは、完全に好みです。1000の画面が好きという人は今でも多いですよ。
3.スティックの摩耗・ドリフト
Vitaには両側にアナログスティックがあります。当然、これまで書いてきたのと同じで減ります。
4.専用カードが手に入らない
故障ではありませんが、実務上いちばん困るのがこれかもしれません。本体は無事でもカードがないという個体があります。
改造メモ:Vitaは慎重に

Vitaの分解は、この連載で扱った中でも難易度が高い部類です。
理由は接着です。
ネジだけで組まれていた昔の機械と違い、Vitaは画面が両面テープで貼られています。剥がすには温めて、少しずつ持ち上げる必要がある。
これ、今のスマホ修理とまったく同じなんですよ。
うちで毎日やっている画面交換も、まずヒートガンやホットプレートで温めて接着を緩めるところから始まります。急ぐと画面を割ります。
整備の順番としては、
- 端子とスロットの清掃 — 分解不要。まずここ
- スティックのキャップ交換 — 手軽で効果あり
- バッテリー交換 — 分解が必要。温める工程あり
- 画面交換 — かなり難しい。有機EL版は部品も高い
保管するときは、電池を完全に空にしないこと。半分くらい入れた状態で、涼しい場所に置いてください。
接着の時代が、ここから始まった

最後に、修理屋として言っておきたいことを。
Vitaを開けると、時代の変わり目を感じます。
ネジで組まれていた機械が、接着で組まれる機械に変わった。
なぜかというと、薄くしたいからです。ネジには座面が必要で、その厚みが要る。接着ならほぼゼロ。
おかげで機械は薄く、丈夫に、防水にもなりました。いいことです。
その代わり、直しにくくなった。開けるのに熱が要る。開けたら接着をやり直さないといけない。素人が気軽に開けられなくなった。
これが良いか悪いかは、僕には決められません。ただ、この流れは今も続いているということだけは言えます。
だからこそ、うちみたいな修理屋がいるんだと思っています。開けるための道具と、開けた経験を持っている人間が、街に何人か必要なんですよ(^^)
スマホ119では、ゲーム機の修理・買取もやっています。画面が浮いてきたVitaは、割れる前に見せてください。
次回からは他社の名機に入ります。まずはゲームギア。コンデンサを全部交換するのが前提、という有名な機種です(^^)
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
画面割れ・バッテリー・水没・データ復旧など、お気軽にご相談ください(^^)
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