スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは!スマホ119で専務をしています、富村レオです(^^)
今日から新しい連載を始めます。その名も「レトロゲーム機 改造図鑑」。
昔のゲーム機を1台ずつ取り上げて、当時どんな時代だったか、何を遊んでいたか、そして中を開けたら何が入っていて、今どこが壊れるのかを書いていきます。
なんでスマホ修理屋がゲーム機の話を?と思いますよね(笑)
でも、これがけっこう地続きなんです。液晶、バッテリー、基板、はんだ付け。やってることは30年前の機械も今のiPhoneも、そんなに変わらないんですよ。
記念すべき1台目は、やっぱりこれしかないでしょう。初代ゲームボーイです。
先に正直に言っておきます。僕、今28歳なのでゲームボーイが出た年にはまだ生まれていません(笑)
これは僕にとって「懐かしい機械」じゃなくて、「歴史の中の機械」なんです。それでも、この1台から書き始めたかった。理由は最後に書きますね。

1989年、あのグレーの箱が出てきた
発売は1989年4月21日。価格は12,500円でした。
平成が始まった年です。僕が生まれる、9年近く前。
世の中はまだバブルの真っ最中で、街には黒いレンガみたいな携帯電話を持った大人がいた…と、これは親の世代から聞いた話です。
そんな中に、あのグレーの箱が出てきたわけですね。
調べていて驚いたんですが、当時「ゲームを外に持ち出す」って、ほぼ非常識だったらしいんですよ。ゲームはテレビの前でやるもの。それが常識だった。
それを、あの手のひらサイズがひっくり返した。

しかも電池のもちが異常です。単三電池4本で、約35時間。
今のスマホ、フル充電で丸一日もたないじゃないですか。それを思うと35時間って、もう化け物ですよね(笑)
画面はモノクロ…というか、あの苔みたいな緑がかった液晶。残像もすごくて、キャラが走ると輪郭がぼやける。
正直、今の目で見るとかなり見づらいです。それでも当時は誰も文句を言わなかったらしい。だって、外で遊べるんですから。
この時代に、何が遊ばれていたか

ゲームボーイの話をするなら、この3本は外せないと思います。
テトリス
本体とほぼ同時期に出た、ある意味いちばんの立役者。
ルールは単純です。落ちてくるブロックを積んで、横一列そろえたら消える。それだけ。それだけなのに、気づいたら1時間経ってる。これは僕も後追いで遊んで、しっかりやられました…。
そして通信ケーブル。2台のゲームボーイをケーブルでつないで対戦する。これ、当時としてはとんでもない発明だったはずです。
自分が列を消すと、相手の画面にせり上がってくる。友達の「うわっ」って声が、隣から直接聞こえる。オンライン対戦がない時代の、いちばん濃い対戦の形ですよね。
スーパーマリオランド
据置のマリオを手のひらに持ってきた1本。
ステージが4ワールドしかなくて、慣れると30分くらいでクリアできてしまう。でも、それが逆によかったらしいんです。通学の行き帰りにちょうどいいボリュームだった、と。
途中でいきなりシューティングになるのも面白いところ。マリオが潜水艦や飛行機に乗って弾を撃つんですよ。今つくったら企画会議で止められそうです(笑)
ポケットモンスター 赤・緑
これは少しあと、1996年の作品。僕が生まれる、1年半ほど前です。
もう発売から7年経った古いハードだったのに、ここから爆発的に売れ直した。ゲーム機の歴史でもかなり珍しいことだと思います。
友達とケーブルでつないで交換しないと図鑑が埋まらない。あの設計が本当にうまい。おかげで放課後、みんなでケーブルを持ち寄ることになるわけです。
ちなみに僕がリアルタイムで通ったのは、ここからずっと後のアドバンスやDSの世代。その話は、この連載が進んだら思う存分書かせてください(^^)
開けてみると、びっくりするほどスカスカ
ここからが本業の話。
ゲームボーイの裏側を見ると、ネジが特殊なプラス型(Y字ネジ)になっています。普通のドライバーでは開きません。任天堂は昔からこれをやるんですよね。
専用のドライバーで6本外して、パカッと開ける。

そこで最初に思うのが「スカスカだな」ってことです。
基板は片面実装で、部品と部品の間がゆったり空いている。手ではんだ付けできるサイズのチップがほとんどです。
今のiPhoneの基板って、ルーペで見ないと部品の向きすら分からないレベルなんですよ。米粒より小さい部品がびっしり。それと比べると、ゲームボーイの基板は「読める」んです。どこに何があるか、目で追える。
液晶は反射型のSTN液晶。自分で光らないので、明るいところじゃないと見えない。だから当時、みんな窓際に寄ったり、電気スタンドの下でやったりしてました。
そして電池ボックス。金属の板バネで単三を4本押さえる、シンプルな構造です。
…この電池ボックスが、30年後にいちばんの敵になるんですけどね。
今、ゲームボーイが壊れるとしたらここ
押し入れから出てきたゲームボーイが動かない。その原因、だいたい次のどれかです。
1.電池の液漏れによる腐食(いちばん多い)
※画像はAIで生成した参考イメージですダントツでこれです。
電池を入れっぱなしで20年、30年放置すると、中身が漏れます。漏れた液が金属の端子に付くと、白い粉をふいたり、緑青(りょくしょう)が出たりして、電気が通らなくなる。
ここで大事なのが、「見た目がキレイでも中で進んでいることがある」という点です。表からは分からなくても、端子の裏側や基板側まで回っていることがあるんですよ。
で、これ。水没したスマホの中で起きていることと、まったく同じなんです。
水没修理でうちがやっているのも、結局は基板についた腐食を落として、通電を取り戻す作業。相手が電池の液かポカリか海水かの違いだけで、やることは変わりません。
2.画面に縦線が入る
これも定番です。液晶の一部が帯状に欠けて、縦のスジになる。
原因は、液晶とドライバICをつないでいる部分の接着が経年で弱ることが多いです。熱をかけて圧着し直すと復活することもありますが、正直これは失敗すると一発で終わるので、慣れが要ります。
3.音がガリガリ、ボタンが効かない
音量つまみのガリはホコリと酸化。ボタンの効きが悪いのは、下に入っているゴムのパッド(導電ゴム)が硬くなって、へたるから。
ゴムって20年経つと本当にダメになるんですよね。ここは部品を替えれば直ります。
改造メモ:いちばん人気は「IPS液晶化」

ここからが楽しいところ。
レトロゲーム機の改造で今いちばん盛り上がっているのが、IPS液晶への交換です。
あの見づらかった反射型の画面を、明るくてコントラストのハッキリした現代の液晶に載せ替える。バックライトが入るので、暗いところでも見えるようになります。
この本体を残したまま中身だけ現代化するやり方が、個人的にすごく好きなんですよ。外は1989年、中は令和。この組み合わせ、たまらないです(^^)
ちなみに僕、レトロゲーム機はけっこう持っていまして。最近だとスーパーファミコンの側(がわ)を、透明なクリアケースに入れ替えました。
中の基板が透けて見えるんです。あの90年代のスケルトン、やっぱりいいなあと思って(笑)
殻を替えるだけなら、そんなに難しくありません。ただ、開けたついでに中も見えるわけです。電池の液漏れ跡はないか、コンデンサは膨らんでいないか。結局そこを見てしまうのは、職業病ですね。
ほかにも、
- シェル(外側の殻)を丸ごと新品に交換して見た目を復活させる
- ゴムパッドを新品にしてボタンの押し心地を戻す
- スピーカーを替えて音を復活させる
このあたりは、部品さえあれば比較的やりやすい部類です。
逆に、基板のパターンが腐食で切れてしまっている場合は難易度が跳ね上がります。切れた配線を細い線で飛ばして直すことになるので…ここはもう職人の世界ですね。
なぜ、自分より年上の機械から始めたのか
長々と書いてしまいました(笑)
最初の約束どおり、ひとつだけ真面目な話をさせてください。
僕がこの連載を、自分より9歳も年上の機械から始めたのには理由があります。
子どもの頃、僕の家にはミニカーが何百個も並んでいました。父が集めていたんです。新し物好きで、機械が好きな人でした。
ただ、その新品のミニカーは触らせてもらえませんでした(笑)
だから僕のものは、軍のフリーマーケットで買ってきた中古のほうでした。塗装が剥げていたり、タイヤが一個なかったり。でも、そっちのほうが自分の物という感じがして、好きだったんですよ。
たぶん僕、そこからずっと同じなんだと思います。ピカピカの新品より、誰かが使ったあとのある機械のほうに手が伸びる。
そしてもうひとつ。修理をやっていると、たまに来るんですよ。「もう部品も無いし、どこも直してくれなかった」という機械が。
そういうとき、作った年が古いことって、実はあまり関係ないんです。見るのは結局、どこで電気が止まっているか。それだけなんですよね。
ゲームボーイもiPhoneも、そこは変わりません。だから僕は、自分が生まれる前の機械でも、開けてみれば話ができると思っています。
そして、こういう古い機械をいじるのが好きなのは、単に珍しいからじゃないんです。
「動かないと言われたものが、また動くようになる瞬間」が、たまらなく好きなんですよ。
腐食を落として電源が入ったときの、あの感覚。そして、水没したiPhoneのデータが戻ってきたときにお客さまが見せる顔。あれ、僕の中では完全につながっています。
スマホ119では、スマホやiPhoneだけじゃなく、バッテリー交換やデータ復元、ゲーム機の修理もやっています。
もし押し入れに、電池を入れっぱなしのゲーム機が眠っていたら。今日いちど、電池だけでも抜いてみてください。それだけで、将来直せる可能性がぐっと上がります。
次回は、半分の薄さになって驚かせてくれたゲームボーイポケットの話をします。お楽しみに(^^)
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
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