スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
据置図鑑の第6回。今日はメガドライブです。
先に結論から書いてしまうと、この機械のいちばん多い相談は「音がなんかショボくなった」。画面でも読み込みでもなく、音なんですよ。理由もはっきりしていて、メガドライブは音が売りの機械だからです。

① あの頃 ― 一九八八年秋、二万一千円
発売は1988年10月29日、21,000円。消費税が入る前なので、税という概念が無い時代の金額です。
昨日書いたCD-ROM2が同じ年の12月4日発売。つまり1988年の秋から冬にかけて、日本の家庭用ゲーム機はまとめて次の世代へ足を踏み入れています。片方はディスクで、片方は16ビットで。
僕はまだ生まれていません。9年前です(笑) この連載、生まれる前の機械ばかり触っているんですが、逆に言うと開ければ年代は関係ないので。

② 遊んでた ― 速さと、弾の量
後追いで触った側として、印象に残っている三本を。
- ソニック・ザ・ヘッジホッグ(1991)。とにかく速く走る。スピードで任天堂に差をつけにいった、セガの看板です
- ガンスターヒーローズ(1993)。トレジャー製。画面が弾で埋まる撃ちまくりアクションで、この機械の処理能力を見せにきた一本
- ランドストーカー 皇帝の財宝(1992)。クォータービューで、高さを跳んで進むアクションRPG。立体パズルが売りでした
並べると分かるんですが、この機械が押していたのは「速さ」と「量」。処理が追いつく側の性能を前面に出す売り方で、当時の空気がそのまま出ています。

③ 開けてみる ― CPU二個と、あの低音の正体
金属のシールドを外すと、いかにも16ビット時代という並びが出てきます。
CPUはMC68000(7.67MHz)とZ80の二個構成。そして音。FM音源のYM2612と、PSGのSN76489。あの独特の太い低音は、ここから出ています。
電源は外部ACアダプタで9V。初代の特徴は前面にヘッドホン端子と音量スライダーが付いていること。ここ、他の据置機にはあまり無い作りです。
映像出力は初代がDIN端子で、後継のメガドライブ2は9ピンに変更されています。形が違うのでケーブルが互換しません。中古で買ってケーブルが合わない、というのはこれです。
あと底面に拡張端子。ここにメガCDが刺さります。そっちの話は、今週の金曜に。

④ 今、壊れるとこ ― 音から先に来る
三十年以上経った個体で出るのは、だいたいこの順番です。
- 電解コンデンサの劣化。音が痩せる、ノイズが乗る、映像に縦縞が出る。この機械は音が主役なので、劣化が真っ先に耳で気づかれます
- ヘッドホン端子と音量スライダーの接点酸化。ガリガリ音が出ます。ここはメガドライブ固有の症状
- カートリッジスロットの接点酸化。挿し直すと直る、はこの初期症状
- ACアダプタの極性事故。この機械はセンターマイナスなんですよ。形が合う汎用アダプタを刺して基板を焼く事故が、今も起き続けています
四つ目、本当に多いので繰り返します。形が合う=刺していい、ではありません。極性の表示を必ず見てください。
それと初代とメガドライブ2の端子形状の違い。これは故障ではなく「壊れていないトラブル」です。映らないと相談を受けて、ケーブルを替えたら普通に映った、というケースが実際にあります。

⑤ 改造メモ ― 音を戻すのが最優先
やる価値が高い順に並べると、こうなります。
- コンデンサ全交換。音が別物に戻ります。この機械はここが一番効く
- RGBまたはS端子ケーブルで出力を上げて、アップスケーラ経由でHDMIへ。今のテレビで見るならこの流れ
- 音声出力まわりのオペアンプ換装。いわゆる音質MOD
- リージョンスイッチの増設。日本・北米・欧州と50/60Hzの切り替え
- ヘッドホン端子とスライダーの接点洗浄、または交換
黄ばみを抜くレトロブライトについても聞かれるんですが、薬剤と紫外線を扱う作業で、割れや変色の事故が起きます。店としては非推奨です。持って来てください。はんだ付けが要る作業も同じで、うちは毎日スマホの基板を触っているので、道具と環境がそろっています。

「ゆっくり悪くなる」は、気づけない
音が痩せる故障のいやらしいところは、ある日いきなり鳴らなくなるわけじゃない点です。少しずつ、少しずつ痩せていく。毎日聞いていると、その変化に耳が慣れてしまうんですよね。
これ、スマホのバッテリーとまったく同じ話でして。朝から夕方まで持っていた電池が、気づいたら昼過ぎに切れている。でも本人は「そんなものかな」と思っている。基準がゆっくりずれるので、比べる相手がいないと気づけません。
交換したあとに「こんなに違うの」と言われるのは、レトロゲーム機もスマホも同じです(^^) 判断に迷ったらバッテリー交換のページと修理料金表を見てみてください。
押し入れのメガドライブ、ソフト、純正ケーブル。動かないと思っていてもスマホ買取で査定できます。コンデンサを替えれば戻る個体、まだたくさんあるので。
明日は横断回。液晶で光線銃が撃てない理由を、原理から書きます!
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