スマホ119

社長ブログ

沖縄のスマホ修理のお医者さん

スマホ119 社長の手記

社長ブログ視点と、本音と、物語。

修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。

富村スマホ119 代表 富村 浩樹
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社長の作業机の墨絵イラスト(iPhone修理の道具と3Dプリンター、釣り竿、眠る愛犬) 手を動かした分だけ、書ける。
失敗は才能がない証拠じゃない|中学生の僕とスピーカー|社長ブログ
2026.09.19 0

▼ この記事を、ショート漫画にしました(タップで再生・音が出ます)

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皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)

今月は著書『仕組みは、人を信じるために作る』を一章ずつ開いています。今日は第10章、「失敗は、才能がない証拠じゃない」

第Ⅰ部の最後の章です。ここだけは経営の話がほとんど出てきません。出てくるのは、中学生の僕。

中学生が自作スピーカーを作り作曲に挑んで諦める4コマ漫画

中学生の僕は、音を出したかった

きっかけはYMOでした。

あの音を初めて聴いたとき、頭を殴られたような衝撃だったんですよ。音楽というより、装置から鳴っている未来。あんなものが世の中にあるのかと。

そこからはもう一直線です。お年玉とバイト代を全部つぎ込んでオーディオを集めました。中学生の財布でですよ(笑)。買えないものは自分で作るしかないので、電気回路の本を引っぱり出して、木を切って、箱を組んで、スピーカーを自作しました。

夜中まで、半田ごての匂いのする部屋で。母親には相当うるさがられました汗

で、次に手を出したのがコンピュータでの作曲です。工業高校に入る前、PC-6001という8bitのパソコンを触っていて、これで曲が作れるらしいぞ、と。

中学生が自作した木製スピーカーと半田ごての作業机の情景

頭の中の曲が、どうしても出てこなかった

結果から言いますね。だめでした。

頭の中には、はっきり鳴っている曲があるんです。それを機械に打ち込む。出てくる。……違う。何度やっても、違う。

音の長さを直す。音を足す。減らす。まだ違う。近づいてすらいない気がしてくる。

そのうち僕は結論を出しました。「ああ、自分には音楽の才能がないんだな」と。本気でそう思って、やめました。あれだけ木を切って半田を流した時間ごと、才能がないの一言で片付けたわけです。

頭の中で鳴っている曲と機械から出てくる音がずれている様子の図

あのとき足りなかったのは、たぶん才能じゃない

四十年近く経って、自分の中でようやく整理がついたことがあります。

あのとき足りなかったのは、手順と道具でした。

手順というのは、順番のことです。当時の僕は、頭の中の音を機械に移す道のりを、誰にも教わっていませんでした。何をどの順番でやればいいのか。どこで妥協して、どこで粘るのか。全部ひとりで、真っ暗な中を手さぐりです。

道具のほうも同じで、僕がやりたかったことと、目の前の機械にできることの間には、正直かなりの距離がありました。距離があること自体は機械のせいでも僕のせいでもないのに、当時の僕はその全部を「才能」という一語に押し込んでしまった。

手順を知らない。道具が合っていない。教えてくれる人がいない。——これ、才能の問題じゃないんですよね。当時は分からなかった。

才能ではなく手順と道具が足りなかったことを示す図

「僕、向いてないみたいです」

この話をなぜ本に書いたか。

店をやっていると、年に何人か、この言葉を聞くからです。「僕、この仕事向いてないみたいです」。だいたい、入って三か月くらいの若い子が、うつむいて言ってきます。

詳しく聞いていくと、中身はいつも似ています。分解でネジを一本なめた。お客さまへの説明でしどろもどろになった。先輩ならすぐ終わる作業に、倍の時間がかかった。それが何回か続いて、心が折れる。

本人の中では、たぶん一本の線が引かれているんですよ。失敗した、だから自分はできない、だから向いていない——という線。しかもその線、驚くほど速く引かれます。三か月どころか、二週間で引いてしまう子もいる。僕がPC-6001の前で引いた線と、太さも角度もそっくりです。

でもね、これ全部、四十年前の僕と同じ構造なんですよ。手順を知らないだけ。道具の使い方をまだ教わっていないだけ。

だから本にも書いた通り、うちは人ではなく仕組みを疑うようにしています。第2章に出てくる、エースの判断をノートに書き出したらA4で8ページになった、あの話の続きですね。手順が紙になって、道具が手に馴染むと、「向いてない」と言っていた子が一か月後には普通に回している。何度も見てきました。

手順書と道具が揃うと新人が回せるようになる流れの図

渡したい言葉

もし今日、辞めますと言いに来る子がいたら、僕はこう言うと思います。

それ、才能の話じゃないよ。手順と道具の話だよ、と。

本当に向いていないことも、世の中にはあります。それは否定しません。でも、三か月で分かるほど人間は単純じゃない。三か月で分かるのは、教える側がちゃんと教えられたかどうかだけです。そこは僕らの責任。

音楽を諦めたことを、いまさら後悔はしていません。あのとき箱を組んだ手が、そのままスマホを開ける手になったので。機械の中身を見るのが好きな中学生が、そのまま歳をとっただけの人生です(笑

スピーカーを組んだ手がそのままスマホを開ける手になったことを示す図

本の続きが読みたくなった方はBOOKのページをどうぞ。第Ⅰ部はこの第10章で終わりで、来週からは残りの話に入ります。

そして今日も、沖縄県内8店舗(2026年時点)で修理しています。「向いてない」と言いながら手を動かしている若い子もいますので、お近くの店舗で見かけたら、どうか優しくしてやってください^^)

お気軽にご相談下さい。


スマホ119は沖縄県内に店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。画面割れ・バッテリー・水没・データ復旧など、お気軽にご相談ください^^)
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