スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
曇り空の砂浜に、黒いテントを一張り張りました。
去年の2月11日。場所は中城村の砂浜です。去年と言うと最近に聞こえますが、数えると1年と8か月ほど前になります。

テントの横に調理道具を並べて、その向こうは灰色の海。日が傾き始めた夕方のことです。
今日は10月の最後の回。今月の趣味の回の締めに、冬の砂浜の一日を選びました。
建国記念の日の、中城の浜
2月11日は建国記念の日で、この年は火曜日の祝日でした。平日の真ん中にぽつんと休みがある、ちょっと得をした気分の一日です。
中城村は、本島の東側、中城湾に面した村です。高台には、世界遺産の中城城跡(なかぐすくじょうあと)があります。石垣の曲線がとてもきれいなことで知られるグスクで、地元の人間にとっても自慢の場所です。
その高台から坂を下りた先に、静かな海がある。東の海なので、夕方は日が背中のほうへ沈んでいきます。西の海のような派手な夕焼けはないかわりに、空と海がゆっくり暗くなっていく。冬の浜には、その静かさがよく似合います。
砂浜に、小さな部屋をつくる
半円のドーム形の、黒いテント。手前に黒い天板のテーブルを置いて、鍋をのせる。横には焚き火台。砂浜の上に、そこだけ小さな部屋ができました。
黒いテントは、明るい色のテントに比べて光を通しにくく、中が暗く落ち着きます。曇りの浜に黒いドームがひとつ。色の少ない景色の中で、道具の黒がよく締まって見えました。

テントを張ったら、次は椅子とテーブルの置き場所。どこに座って、どこで火を使って、どこに道具を置くか。これが決まると、あとの動きがぐっと楽になります。キャンプの段取りは、ほとんどここで決まる。
冬の浜は、夏に比べて人も少なく、虫もほとんどいません。冬にキャンプをする人が増えているのは、そういう静かさもあるんだと思います。
沖縄の2月は、1月と並んで一年でいちばん寒い時期です。それでも、最低気温が10度を下回る日はあまりありません。本土なら雪の心配をする季節に、浜でテントを張って焚き火ができる。冬こそ焚き火がちょうどいいのが、この島のありがたいところです。
冬は日が短いので、明るいうちに火をおこして、暗くなる前に食べ終える段取りにしておくと、片付けが楽になります。この日も、日が傾き始めたころに焚き火台に火を入れて、煙が小さな炎に変わるのを待ちました。
焚き火台に火を入れる
炎が上がってきたら、焚き火台は一気ににぎやかになります。

薪を組んだ炎が高く上がって、上には網、横には鍋。
曇りの日の焚き火は、炎の色がよく映えます。空が灰色だと、火のオレンジだけが浮かび上がる。この日いちばん鮮やかだったのは、間違いなくこの炎です。
炎の上でフライパンを振って、炒め物も作りました。焚き火の火力は、ガスより強くも弱くもなる。薪の寄せ方ひとつで、火の強さを変えられるのが面白いところです。
火を眺めていると、時間の感じ方が変わります。炎は一瞬も同じ形をしていないのに、見ていて少しも疲れない。焚き火が好きな人が多いのは、きっとこのせいだと思います。
焼いた魚を、ごはんにのせて
晩ごはんは、焼いた魚の切り身をごはんにのせました。

銀色の丸い皿に、白いごはんを山のように盛って、その上に焼き目のついた切り身。皮の焦げ目と、ごはんの白。
皿は一枚、箸は二本、ごはんは一膳。
ごはんの上におかずを直接のせる食べ方は、外ではとても合理的です。皿が一枚で済むので、洗い物が少ない。砂浜では水も限られているので、洗い物が減るのはそのまま楽になります。
外ごはんは、品数を増やすより、一皿でちゃんと満たされるほうがいい。道具も手間も少ないほうが、火を見ている時間が長く取れます。焚き火のそばで食べる一皿は、それだけで、ちょっとしたごちそうに見えるものです。
椅子にちょこんと、チョコ
日が暮れかけたころ。

緑色の椅子の上に、チョコがちょこんと座っていました。前足をそろえて、まっすぐこっちを見上げています。首には虹色の縞のハーネス。
チョコは、今うちにいるトイプードルです。とても人懐っこい子です。
そのあと、差し出された手から、おやつをもらっていました。

椅子に座ったまま、首だけ少し前に出して、口を寄せる。おやつを前にした、いい顔です(笑
犬を椅子に座らせておくと、地面より一段高いぶん落ち着きやすく、砂だらけにもなりにくい。人の椅子が一脚減っても、それで十分です。
犬連れで焚き火をするときは、リードを短めにして、火のそばに近づけないことが大事です。火の粉は、思っているより遠くまで飛びます。
ボタンのない砂浜でも
家のチョコは、床の録音ボタンを自分で押して、僕に話しかけてきます。
「お父さん」。「散歩行こう」。「怒ってる!」。「寂しいよー」。
本当に、会話になります。
砂浜には、ボタンがありません。それでも、椅子の上から見上げてくる顔は、家でボタンを押す前の顔と同じです。
ボタンがなくても、言いたいことはたぶん同じ。「おやつ」か「散歩行こう」か、そのあたりだと思います(笑
予定表に書いていない時間
今月は、趣味の回でいろいろな日を振り返ってきました。
夜釣り、船、島、小さな機械、自転車、コンテナの宿、水槽、曇りの砂浜。そして今日の、冬の砂浜。
並べてみて、共通していることがありました。
どれも、予定表には書いていない時間です。
仕事の予定は、予定表に書きます。会議、打ち合わせ、納期。でも、砂浜にテントを張って、火を眺めていた時間は、どこにも書いていない。それなのに、スマホの中にはちゃんと日付つきで残っています。
予定表に書いていない時間があるから、書いてある予定のほうも回っている。今は、そう思っています。
冬の浜の夕方は、短くて、静かです。
休むのが苦手なほうだと、自分では思っていました。でも、振り返ってみると、休む時間をちゃんと作っていた。それが分かっただけでも、この1か月、昔の日付をたどってきた意味がありました。
昔の日付をたどる時間も、休みのひとつです。何かを生み出すわけでもなく、誰かに報告するわけでもなく、ただ、あの日の浜や海を思い出す。
休むのが苦手な僕でも、この時間だけは、ふしぎと手を止められます。
夜の岸も、船の上も、冬の浜も。どの日も、そこにいたのは仕事を少しだけ忘れた自分でした。そういう日が思っていたよりたくさんあったことが、10月のいちばんの発見です。
さて、10月は今日でおしまいです。
11月も、本の続きと趣味の話を、混ぜながら書いていきます。
スマホの中の写真が気になる方は、お近くの店舗へお気軽にどうぞ。
愛犬の話は、前にも3Dプリンターで作った首輪の回や、浜比嘉島の3日間の回で書いています。
お気軽にご相談下さい^^)
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