スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
小さな炭火グリルを、風よけでぐるりと囲みました。
7年前の1月23日、夕方のことです。

網は小さくて、一度にのるのは一品か二品。その小ささが、この日の段取りを決めました。
今日は趣味の回。芝生の庭で、夕方から夜まで、炭火で一品ずつ焼いた日の話です。
1月の夕方、芝生の庭に木のテーブル
夕方、芝生の庭に木のテーブルを出しました。
テーブルの上に、盛り合わせの皿と、これから焼く食材を並べる。グリルはテーブルの脇に置いて、まわりを風よけで囲みます。
芝生の上に木のテーブルがひとつあるだけで、庭はちょっとした外の食堂になります。椅子を引いて、食材を並べて、炭の箱を足元に置く。準備をしている時間から、もう外ごはんは始まっているんですよね。冬の芝生は少し色が抜けていますが、それもこの季節らしくて好きです。
沖縄の1月は、一年でいちばん寒い時期です。気温だけ見れば十数度あっても、北風が吹くと体感はぐっと下がる。本土の方には「沖縄でも寒いの?」と笑われますが、寒いものは寒いんです(笑
そのかわり、この時期の沖縄は空気が乾いて、夕方の空がきれいです。この日も、炭の支度をしているうちに、庭の上の空が少しずつ色を変えていきました。
焼く物だけでなく、そのまま食べられる物を先に並べておくと、炭がおきるまでの待ち時間がつらくなりません。盛り合わせの皿を横に置いて、炭が落ち着くのを待ちました。
炭火は、急いでも早くなりません。火がまわるまで、ただ待つ。だから、待つしかない(笑
1月の庭。夕方。炭の匂い。
大きなバーベキュー台を出して、たくさんの炭をおこして、網いっぱいに肉や野菜を並べるのも楽しいですが、小さなグリルをひとつ置いて、少しの炭で、一品ずつ焼いていくこういう夕方には、それとはまた別の、落ち着いた楽しさがあります。
静かです。
最初の一品は、くるんと丸まる
炭が落ち着いたところで、最初の一品を網にのせました。

焼けてくると、先のほうから少しずつ反って、くるんと丸まっていきます。
熱が入ると、一気に形が変わる。

網にのせた瞬間から、形がどんどん変わっていきます。こういう物は、焼けていく様子を見ているだけで楽しいんです。じっと見ていると、網のことしか考えていない自分がいます。
網に食材がくっつくのを防ぐには、網をよく熱してからのせるのが基本です。冷たい網にいきなりのせると、返すときに皮や身が網に残ってしまう。ここだけは、急がないほうがいいところです。
続けて、白い切り身
最初の一品がひと段落したところで、白い切り身をのせました。

一つが焼けたら、空いた所に次をのせる。網いっぱいに並べるのではなく、一品ずつ。小さなグリルだと、自然とそういう焼き方になります。
小さな網でも、炭がいちばん赤い所は強火、ふちのほうは弱火。同じ網の上で、場所によって火の強さが違います。焼けた物はふちへ寄せて、真ん中には次の一品。網の上の小さな引っ越しを繰り返しながら、夕方の時間が過ぎていきました。
テーブルと網の間を、何度行ったり来たりしたか分かりません。焼いて、寄せて、のせて。手を動かしている間は、仕事のことも、明日の予定も、頭から抜けていきます。
そのうち、1月の空はどんどん暗くなっていきます。沖縄でも、冬の日の入りは6時前後。気がつけば、手元を照らすのは炭の赤い光だけになっていました。
炭火は炎が上がらないぶん、じんわりと赤く光ります。暗い庭では、その赤がいちばんきれいな色です。
日が暮れてから、貝
しばらく間をあけて、すっかり暗くなってから、今度は貝をのせました。

グリルの上の黒い器に貝を並べて、焼けるのを待つ。
夕方からずいぶんたっても、炭はまだちゃんと生きていました。小さなグリルでも、炭は思ったより長く持ちます。
パチッ。殻の鳴る音がします。
殻がそのまま器になってくれるのも、貝のいいところです。皿もいらない。
網の上に貝が並ぶと、外ごはんもいよいよ終盤。この日の網は、最後までずっと小さなままでした。
夜、遠くの港の灯り
焼くのがひと段落したところで、顔を上げると、遠くに港の灯りが見えました。

工場の明かりと、鉄塔の灯り。暗い空の下で、そこだけが光っています。
夕方から夜まで、網の上ばかり見ていた一日の、いちばん遠くの景色です。
冬の夜は、空気が澄んで遠くの灯りがよく見えます。網の上の小さな火と、遠くの港の大きな灯り。近くと遠くを一晩で両方見られるのも、外で過ごす夜のいいところです。
港の夜景は、沖縄の観光案内にはあまり出てきません。海の青や白い砂浜にくらべると、地味ですよね。でも、地元に住んでいると、工場や港の灯りのほうが「いつもの沖縄」に近い気がします。夜通し動いている場所があるから、朝になると店に部品が届いて、スーパーに物が並ぶ。今見ても、いい夜景だと思います。
暗い庭で、少しだけ残った炭の赤と、遠くの灯り。1月の夜の空気は冷たかったけれど、こういう夜は嫌いじゃありません。
一つ焼けたら、次を載せる
この日、網の上はいつも一品でした。
最初の一品、白い切り身、日が暮れてからの貝。網いっぱいに並べるのではなく、一つ焼けたら、次。
小さなグリルなので、たくさんはのらない、というのもあります(笑
でも、網が小さいと、一度にのる数が決まる。決まっているから、順番を考える。順番を考えるから、焦がしにくい。
仕事も、似たところがあります。
やることが多い日ほど、全部まとめて手をつけたくなる。でも、まとめて片付けようとすると、どれかが途中のまま残りやすいんです。一件ずつ終わらせてから次へ進む方が、取りこぼしが少ない。
急がば回れ、です。
一つずつ終わらせていると、何が終わって、何が残っているかが、いつもはっきりしています。網の上を見れば、今どこまで進んでいるかが分かる。仕事の机の上も、本当はそのくらい見通しがいい方がいいんですよね。
やることを紙に書き出して、終わった物から線を引いて消していく。それだけでも、机の上の「網」はずいぶん小さくなります。一度に見るのは一行だけ。網の上の一品と同じです。
網の上の一品と、机の上の一件。大きさは違っても、やり方は同じです。
7年前の1月、夕方から夜まで、一品ずつ焼いた庭の一日。今思い出すと、段取りの見本みたいな夜でした。
ちなみに、この日の2日後の日付で、このブログに「天気がいいのでお庭でBBQしてみた!」という記事を書いています。7年前の僕の文章も、よかったらのぞいてみてください。
明日は趣味の回。6年前の9月、竿にピンクと黄色のルアーをつけて、朝の船で沖へ出た日の話です。
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