スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
改造図鑑、第16回。ここからは任天堂・ソニー以外の機種に入ります。
まずはゲームギア。セガが出した携帯ゲーム機です。
この機種、レトロゲーム界隈ではある一点で有名なんですよ。
「コンデンサを全部替えないと動かない」

1990年、先にカラーをやった機種
発売は1990年10月6日。価格は19,800円。
僕が生まれる7年前です。当然、リアルタイムでは知りません。
ここで思い出してほしいんですが、この連載の第1回で書いた初代ゲームボーイは1989年で、画面はあの苔色のモノクロでした。
そのわずか1年半後に、ゲームギアはフルカラーのバックライト付き液晶を載せてきたんです。
- 4096色中32色を同時表示
- バックライト内蔵で暗くても見える
- 横持ちスタイル(GBAより10年早い)
- 別売チューナーでテレビが見られた
スペックだけ見たら、圧倒的にゲームギアの勝ちです。
なのに、勝てませんでした
理由もはっきりしています。電池です。
ゲームギアは単三電池6本を使って、もつのは約3〜5時間。
初代ゲームボーイは単三4本で約35時間でした。
桁が違います。当時、子どもが自分の小遣いで電池を買うことを考えたら、これは致命的でした。
カラーで明るい画面は電気を食う。GBAの回で書いた話とまったく同じ構図が、10年前にもう起きていたわけです。

本題:なぜコンデンサを全部替えるのか
ここからが今日のメインです。修理の話としては、この連載でいちばん技術的かもしれません。
コンデンサって何をしているのか
基板の上に立っている、円筒形の部品です。銀色や黒色の小さな缶みたいなやつ。
ざっくり言うと、電気を一時的にためて、ならす部品です。
電源から来る電気って、実はきれいな一定の流れじゃないんですよ。細かく揺れている。その揺れをコンデンサが吸収して、なめらかにしてくれています。
音を出す回路にも使われていて、ここが弱ると音が出ない・ノイズが乗るという症状になります。
そして、電解コンデンサには寿命がある
問題はここです。
この時代に使われていた電解コンデンサという種類は、中に電解液という液体が入っています。
液体です。ということは、時間が経つと乾きます。あるいは漏れます。
- 乾く → 電気をためる能力が落ちる → 音が出ない、画面が乱れる、電源が入らない
- 漏れる → 漏れた液が基板を腐食させる
この2つ目が本当に厄介で、放っておくと基板の配線そのものが溶けて切れます。

ゲームギアが特にひどい理由
実は、この時代の機械はどれもコンデンサを積んでいます。ではなぜゲームギアだけ有名なのか。
理由はいくつか言われています。
- 数が多い(バックライトや音声の回路で、たくさん使っている)
- 使われた部品の当たり外れがあった
- 本体の中が密集していて熱がこもりやすい。熱はコンデンサの寿命を縮めます
結果、30年経った今、ほぼ全部の個体で交換が必要という状態になっています。
だからレトロゲーム好きの間では、「ゲームギアを買ったら、まずコンデンサ交換」が常識になっているんです。
これ、今の機械でも起きます
「昔の話でしょ」と思うかもしれませんが、そうでもないんですよ。
電解コンデンサは今も使われています。とくに電源まわり。
うちの店に来る修理でも、
- テレビが映らない(電源基板のコンデンサ)
- パソコンが起動しない(マザーボードのコンデンサ)
- 充電器から異音がする
このあたりは、コンデンサが原因のことがあります。頭が膨らんでいたら、ほぼ確定です。
パソコン・家電修理でも、これは定番の故障です。
スマホは小型の別種類(セラミック等)が主流なので同じ形では起きにくいですが、「部品には寿命がある」という原則は変わりません。
作業としては、どうなのか

正直に書きます。数は多いけど、作業自体は単純です。
やることは、
- 古いコンデンサを、はんだを溶かして外す
- 基板に残ったはんだと、漏れた液を掃除する
- 新しいコンデンサを、向きを合わせて付ける
これを、20個も30個も繰り返すだけ。
ただし、注意点が3つあります。
1.向きがある
電解コンデンサにはプラスとマイナスがあります。逆に付けると動きません。最悪、破裂します。
外す前に写真を撮る。この連載で何度も書いていることですが、ここでも同じです。
2.漏れた液の掃除が本番
実は、部品交換よりこっちのほうが大事です。
漏れた電解液が残っていると、新しい部品を付けてもそこから腐食が進みます。
これ、第1回で書いた電池の液漏れと、やっていることはまったく同じなんですよ。腐食を落として、通電を取り戻す。
3.熱をかけすぎない
30年前の基板は、配線パターンが熱で剥がれやすいです。
はんだごてを当てっぱなしにすると、部品と一緒に基板の配線を引き剥がしてしまう。こうなると難易度が跳ね上がります。
短く当てて、すぐ離す。 ここは経験が要ります。
正直、これは入門向けではありません

この連載では「まずここから」という順番を毎回書いてきました。
ゲームギアについては、はんだ付けが必須なので、いきなりは厳しいです。
もし挑戦したいなら、
- まずGBAのボタン交換あたりで、はんだに慣れる
- 練習用の捨ててもいい基板で、外して付けるを繰り返す
- そのうえで、ゲームギアへ
という順番をおすすめします。
あるいは、お店に頼むのも普通にありです。うちみたいな修理屋でも、こういう相談は受けています。
「自分でやるのが偉い」わけじゃないので(^^) 大事な1台なら、確実なほうを選んでください。
負けた機械が残してくれるもの

最後に。
ゲームギアは、前回のPSP goと同じで勝てなかった機械です。
技術は先を行っていました。カラーも、バックライトも、横持ちも、全部あとの機種がやることを10年早くやっている。
足りなかったのは、電池の技術でした。
やりたいことに対して、時代の電池が追いついていなかった。それだけなんですよ。
今、僕らのスマホがあれだけの画面を1日もたせられるのは、電池と省電力の技術が30年ぶんかけて進んだからです。
ゲームギアを開けるたびに、「早すぎた機械」がどれだけ苦労したかを見せられている気がします。
そして30年後の今、コンデンサを替えればちゃんとまた動く。これがすごいと思うんですよ。
設計がしっかりしている機械は、部品さえ替えれば生き返る。直せる機械なんです。
スマホ119では、ゲーム機の修理・買取もやっています。押し入れの古い機械、音が出ない・画面が乱れるなら、まだ直る可能性があります(^^)
次回はワンダースワンとネオジオポケット。同じ時代に戦った、他社の意欲作たちです。
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
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