スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
▼ この記事を、ショート漫画にしました(タップで再生・音が出ます)
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
今月は自分の本『仕組みは、人を信じるために作る』を、一章ずつ開いていく月にしています。今日は第9章。タイトルは「完璧を待つと、何も始まらない」です。
この章、原稿を書きながら一番手が止まりました。だって僕、完璧じゃないものばかり世に出してきた人間なので(笑

「もう少し整ってから」が来た試しはない
これについては、僕の中でもう答えが出ています。来ません。
「もう少し人が育ってから」「もう少し資金に余裕ができてから」「もう少しマニュアルを整えてから」。どれも口にした瞬間は、ものすごく真面目な判断に聞こえるんですよね。ところが半年後、同じ言葉をもう一度言っている自分がいる。三年経ってもまだ言っている。整った日というのは、待っている人のところには一生来ない日でした。
整うのは、始めたあと。順番が逆なだけの話です。
1号店を決めた日、実は何も決まっていなかった
本にも書いたことですが、うちの1号店はイオンタウン泡瀬の中にあります。
2013年。あのころ、自宅の玄関先が完全に限界でした。中城の山の中の家に、夜中でもお客さんが訪ねてくる。家族が寝ている横で、水没したiPhoneをピンセットで開けている。さすがにこれはまずいぞ、と。
それで店を出すと決めた日のこと。どこに出すのか。いくらかかるのか。何坪必要なのか。僕は何ひとつ答えられませんでした。持っていたのは「このままだと家族が眠れない」という切実な事情だけ。事業計画とはとても呼べない代物です。
それでも出しました。そこから北谷、名護、那覇、浦添と広がって、いまは沖縄県内で8店舗(2026年時点)。創業からの累計で修理20万件を超えました(自社調べ)。全部、完璧じゃない状態で始めて、走りながら直してきたものです。
たまに「よく踏み切れましたね」と言われます。いや、踏み切ってないんですよ。後ろに下がれる場所が無かっただけです。勇気の話に見えるとしたら、それは後から誰かがきれいに言い直しているだけで、当時の僕はただ困っていました。困っている人間は、意外と早く動けます。

ただし、なんでも走りながらでいいわけがない
ここまでは本に書いた話。ここからが、今日はじめて言葉にすることです。
12年やってきて分かったのは、走りながら直していい事業と、絶対にそうしてはいけない事業が、はっきり分かれているということでした。僕はこれを、三つの質問で見分けています。
①失敗したとき、痛いのは誰か
痛いのが自分だけなら、走っていい。痛いのがお客さまなら、走ってはいけない。単純です。アプリの初版が使いにくくて怒られるのは僕。でも、お預かりした端末の中の写真が消えたとしたら、痛いのはお客さま。ここは一ミリも譲れないライン。
②戻せるか
失敗しても元に戻せるものは、どんどん出していい。ブログの記事は書き直せます。値付けも直せる。看板の色だって塗り替えられる。じゃあ戻せないものは何かというと、人の信用と、データ。この二つだけなんですよ。
③答えが何日で返ってくるか
出した翌日に「使いにくい」と返ってくる仕事は、走ったほうが速い。三年経たないと成否が分からない仕事は、走っても直せません。直せないものを走らせるのは、改善じゃなくてただの博打。


準備しすぎて出遅れたものも、ちゃんとある
偉そうに書いていますが、逆のやらかしもあります。
「もう少し機能を足してからにしよう」で寝かせているうちに、時期を逃した企画。「説明資料が固まってから」と言い続けて止まったままの仕組み。あれは慎重だったんじゃないんです。単に怖かっただけ。正直に白状します。
怖さと慎重さって、顔がそっくりなんですよ。見分けたいときは、さっきの三つを自分に向けます。痛いのは誰?戻せる?何日で返る?——三つとも安全側なら、それはもう怖がっているだけ。出してしまいましょう。

うちが「完璧を待つ」側に置いているもの
誤解されたくないので、はっきり書いておきます。修理そのものは、走りながらやりません。
手順を決めて、確認して、お預かりした端末はお客さまの人生の一部として扱う。新しいやり方を試すときも、まず自分の私物を分解して壊してから。ここだけは完璧を待ちます。待つ場所をきっちり決めているから、他のところで思い切り走れる。そういう構造なんです。
気になった方は修理料金表を見てもらえれば分かりますが、料金の書き方ひとつにしても、後から何度も何度も直しています。あれも下書きから始まりました。

下書きのまま人に見せるのは、12年経ったいまでも怖いです。でも下書きって、出した瞬間から勝手に清書されていくんですよね。誰かが使ってくれた分だけ。
本の続きが気になった方はBOOKのページへどうぞ。そして本業のほうも相変わらずやっています(笑)。沖縄県内の店舗一覧はこちらから。
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