スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
▼ この記事を、ショート漫画にしました(タップで再生・音が出ます)
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
昼は修理屋、夜はアプリを作っている社長です。今日はその中の一本、「おくすりタイム」という服薬管理のアプリの話を。
作った理由でも、機能自慢でもなくて、一回できたものを捨てた話です。

カウンターで見ている二つの顔
このアプリは、修理のカウンターから生まれています。
ひとつめの顔は、薬の袋をポーチごと持ち歩いているおばぁ。スマホの相談をしながら、ぽろっと言うんですよ。「さっき飲んだかどうか、分からんくなるさぁ」って。
ふたつめの顔は、本土で暮らしている息子さん世代。帰省のたびに親のスマホを直しに来て、最後に必ず同じことを言う。「元気なのか、こっちからは分からんのですよ」。
この二つが、僕の中でつながった。それだけの話なんですが、そこから作り始めました。

最初に作ったのは「毎回通知する」版だった
飲んだらボタンを押す。押されたら家族に届く。押されなかったら家族に届く。
ごく素直な設計ですよね。実際、最初の版はそう作りました。
で、自分の画面で丸一日動かしてみたんです。
朝、昼、晩。通知が三回並ぶ。翌日も三回。その次の日も三回。
画面を眺めていて、背中がすっと冷たくなりました。
これ、見守られる側だったら嫌だな。
飲むたびに、遠くの誰かへ記録が飛んでいく。悪気はひとつもないのに、届く側にも押す側にも「監視」の匂いが残る。
親のためと言いながら、実は子ども側の不安を消すための道具になっていた。ここに気づいた時点で、作り直しを決めました。
動いているものを消すのは、正直しんどい。何日もかけて書いたところを、ばっさりいきましたから。でもここで妥協していたら、たぶん誰も長くは使ってくれなかった。

「24時間、飲まれていない時だけ」に変えた
いまの「おくすりタイム」は、通知をほとんど出しません。
家族に届くのは、24時間ぶん記録がつかなかった時だけ。それ以外は、静かなままです。
つまり「通知が来ない=いつもどおり」。便りがないのは良い便り、という昔からの言い方を、そのまま仕組みにしました。
これ、機能を足したんじゃなくて引いたんですよ。作る側としてはちょっと寂しい(笑)通知の数だけ見れば、明らかに前の版のほうが「多機能」なので。
でも、道具としては後者のほうが正しい。やさしさって、たいてい引き算のほうにあると思っています。
この「24時間」という長さにも、けっこう悩みました。6時間だと、うっかり後回しにしただけで鳴ってしまう。48時間では、さすがに気づくのが遅い。まる一日ぶん空いた、というのが家族に伝わるいちばん短い単位はどこか——そこで止めた数字が24でした。

70歳がワンタップで終わる、を基準線にした
もうひとつ譲らなかったのが、ボタンと文字の大きさ。
飲んだら、大きなボタンをひとつ押す。それで終わり。確認画面も、メニューをたどる手順もありません。
ここは店での経験がまるごと効いています。文字が小さくて既読が押せない、という相談を毎週のように受けているので、小さいUIは最初から選択肢に入りませんでした。
作っている人にすすめたい確認方法がひとつあります。腕を思い切り伸ばして、画面を目から遠ざけた状態で自分のアプリを触ってみる。押せない、読めない、押し間違える。答えはだいたいそこに転がっています。
あとは服薬のカレンダーと履歴。それと、緊急連絡先へのワンタップ発信。カテゴリはメディカルで、無料ではじめられます。
アプリの一覧はアプリ開発のページに並べてあります。2026年8月の時点で11本、全部ひとりで作りました。夜な夜な(笑

これは、薬の代わりにはなりません
大事なところなので、はっきり書いておきます。
このアプリは、記録するだけの道具です。効き目を判断したり、飲む量を決めたり、体の状態を診たりはしません。そこは医師と薬剤師の仕事。
できるのは、飲んだ/飲んでいないの記録を残して、それを診察のときに画面ごと見せられるようにすること。それ以上でも以下でもない。
「毎日ちゃんと飲めてますか」と聞かれて、記憶で答えるのは正直むずかしいですよね。カレンダーを見せれば済む。それだけでも診察が変わるはずだと思って作りました。

店で聞いた困りごとを、夜、コードにする
僕のアプリはだいたい全部この作り方です。仕様書を先に書くんじゃなくて、カウンターで聞いた一言を持ち帰る。
「さっき飲んだかどうか、分からんくなるさぁ」。あの一言がなかったら、このアプリは存在していません。
だから今日も店に立ちます。仕様書はカウンターの向こう側にあるので^^)
次に作りたいものも、実はもう拾ってあります。これはまだ内緒(笑
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