スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
▼ この記事を、ショート漫画にしました(タップで再生・音が出ます)
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です。
今日は秋分の日で、お彼岸の中日。今年の彼岸入りは9月20日、明けは26日です。
沖縄はシーミー(清明祭)と旧盆の比重が大きくて、本土のような彼岸の墓参りはそこまで大がかりではありません。それでも、この一週間はどこか空気が違う。うちの店の来客も、なんとなく静かになります。
今日は、その静かさに合う話を書きます。

毎年、この時期に持って来られる端末がある
「父のスマホです。中の写真だけでも、取り出せませんか」
カウンターに、そっと置かれる。使い込まれてカバーの角が白くなった端末を、僕は毎年いくつか見ています。
持って来られる方は、たいてい何軒か回ったあとです。どこでも同じことを言われて、それでも諦めきれずに来る。
だから今日は、その場では言葉を選びすぎて伝えきれないことを、文章で正確に書いておきます。読んでいて重い話ですが、知らないまま探し回るほうがつらいので。

パスコードが分からない端末は、開けられません
はっきり書きます。パスコードが分からないiPhoneは、うちでは開けられません。
そして、これはうちの技術が足りないという話ではないんです。メーカーの正規窓口へ持って行っても、答えは同じ。
理由はひとつ。そういう設計だから。
無理なものは、無理なんですよ。
いまのスマホは、中身がまるごと暗号化されています。その鍵は、持ち主が決めた数字と結びついている。だから、本体を分解しても、基板から部品を外して読み出しても、出てくるのは意味のない数字の羅列だけ。
これは欠陥ではなく、設計思想です。落としても、盗まれても、他人には絶対に中を見せない。そのために、正面から開ける以外の道を全部ふさいである。
僕らが助けられる範囲を、その設計が線引きしている。悔しいですが、この線があるから、生きている人の写真も口座も守られています。
「どこかに開けられる業者がいるはずだ」と探し回る前に、この一点だけは知っておいてください。開けられると言う相手がいたら、そちらのほうを疑ってほしい。

開けられる場合と、開けられない場合
ここは線がくっきり分かれます。
パスコードが分かっているなら、道はまだあります。画面が割れて何も見えない、電源が入らない、水没した——そういう状態でも、写真を取り出せる可能性は残ります。うちがやっているのはデータ復元のページにまとめてあるとおりで、割れた画面を仮に映して中身を吸い出す、という作業です。
パスコードが分からない場合は、打つ手がありません。ロック画面まではたどり着いても、そこから先が壁。
それと、四桁を「たぶん誕生日」「たぶん結婚記念日」と何度も試すのは、やめてください。外すたびに次を打てるまでの待ち時間が伸びていき、設定によっては中身がまるごと消えます。笑い話にできればいいんですが、そうもいかない。
思い当たる番号があるなら、打つ前に一度、店で相談してください。順番を間違えると取り返しがつかない。
ただ、諦める前にひとつだけ。写真はクラウド側に残っていることがあります。 端末が開かなくても、アカウントのIDとパスワードが分かれば、別の端末から見られる場合がある。ここで救われた方を何人も見てきました。

いま生きている僕らが、やっておけること
縁起でもない話に聞こえますよね。でも、書きます。
やることは、たった2つ。
ひとつは、写真を端末の中だけに置かないこと。クラウドでも、パソコンでも、外付けのハードディスクでもいい。二か所にあれば、片方が消えても残ります。
もうひとつは、アカウントのIDとパスコードを、信頼できる家族がひとりだけ知っている状態にしておくこと。紙に書いて通帳と一緒にしまっておく、で十分です。
設定の中には、万一のときに家族が中身へアクセスできるようにしておく仕組みも用意されています。ただ、名前も場所も更新のたびに変わるので、ここでは断定しません。店に来ていただければ一緒に探します。
エンディングノートに銀行の話は書くのに、スマホの話は書かない。うちに来る方を見ていると、そこがすっぽり抜けている家がほとんどです。
いまや、家族の写真も、遺してくれた声も、あの板の中にしかない。通帳より大事かもしれないのに。

遺された端末を、どうするか
「もう使わないので、引き取ってもらえますか」と聞かれることもあります。
うちは沖縄県公安委員会 古物商許可 第971041700028号で買取をしていますので、お引き受けはできます。詳しくはスマホ買取と会社概要に出しています。
ただ、遺品はいつも慎重にやります。急がなくていい、というのが僕の本音です。
ご家族の間で話がついているか。他に見たい人はいないか。そこが決まらないうちに手放して、後から悔やまれた話を聞いたことがあるので。
売らずに、そのまま持っていたっていいんですよ。電源が入らなくなった端末を、仏壇の引き出しにしまってある家もあります。それでいい。

しのぶ、を修理屋の言葉で
秋分の日の趣旨は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」。
しのぶための道具が、今は手のひらに乗っています。写真も、動画も、最後に届いたメッセージも。
だからこそ、開けられない端末を前にした時の無力さは、修理屋を12年やっていても慣れません。
今日、お墓や仏壇の前でスマホを構える方は多いと思います。撮ったその写真、今日のうちにもう一か所へ逃がしておいてください。それが、僕から言えるいちばん実務的な供養の話です。
スマホ119は沖縄県内に店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。画面割れ・バッテリー・水没・データ復旧など、お気軽にご相談ください^^)
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