スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
前回は初代ゲームボーイの話をしました。僕より9歳年上の機械でしたね。
2回目の今日は、その7年後に出たゲームボーイポケットです。1996年。僕が生まれる、1年半くらい前ですね。
この機種、ものすごく地味に見えて、実は今のスマホにつながる話が詰まってるんですよ。

「小さくしただけ」の、とんでもなさ
発売は1996年7月21日。価格は6,800円。
初代の12,500円から、ほぼ半額です。ここも地味にすごい。
そして本体。厚みが約半分になりました。初代を知っている人が持つと「え、軽っ」となったそうです。
電池も単三4本から、単四2本へ。数も減って、サイズも小さくなった。ポケットに入るから「ポケット」なわけですね。

ただ、いいことばかりじゃありません。
電池のもちは約35時間から、約10時間に落ちました。
これ、今のスマホでもまったく同じ話をしてるんですよ。薄くしたい、軽くしたい。でも電池を小さくすると、もたなくなる。30年前から、メーカーは同じジレンマと戦ってるんです。
「白黒がちゃんと白黒になった」という進化
個人的に、この機種でいちばん評価したいのは画面です。
初代のあの苔みたいな緑、覚えてますか。あれ、当時から「見づらい」と言われていました。
ポケットでは、それがちゃんとした白黒になりました。コントラストがはっきりして、残像もかなりマシになった。
正直、僕が後追いで両方さわったとき、いちばん驚いたのがここです。数字のスペックには出てこないのに、持った瞬間に分かる差なんですよ。
画面のドット数は初代と同じ。解像度は上がっていません。それでも「見やすくなった」と感じさせた。数字じゃないところの改善って、こういうことなんだなと思います。
ちなみに「ゲームボーイライト」という兄弟機も

翌1997年、日本だけでゲームボーイライトという機種が出ています。僕が生まれる、8か月ほど前(笑)
何が違うかというと、画面が光る。バックライトが内蔵されたんです。
当時の技術なので、光源は冷陰極管。蛍光灯を極細にしたようなもの、と思ってください。
これで暗いところでも遊べるようになった…んですが、あまり売れませんでした。すぐ後にゲームボーイカラーが控えていたので、たった1年ちょっとで消えてしまう。
おかげで今、中古市場ではかなりの高値がついています。歴史って面白いですよね。
開けてみると、初代とぜんぜん違う
ここからが本業の話です。
初代を開けたとき、僕は「スカスカだな」と書きました。部品と部品の間がゆったり空いていて、目で追える基板でした。
ポケットを開けると、印象がガラッと変わります。

詰まってるんですよ。
当たり前なんですけど、厚みが半分になったということは、同じ機能を半分の空間に押し込んだということです。基板の実装密度が上がって、部品も小さくなっている。
ネジも小さくなりました。相変わらずY字の特殊ネジですが、ひと回り細い。
ここで、修理屋として大事なことをひとつ。
小型化すると、修理の難易度は上がります。
理由は単純で、
- 部品が小さいので、はんだごての熱が周りに逃げやすい
- 隣の部品との距離が近いので、関係ないところまで溶かすリスクが上がる
- フレキケーブル(薄いフィルム状の配線)が増えて、これが折れやすい
この流れ、そのまま今のスマホまで一直線につながっています。
iPhoneも世代が進むほど中身がぎっしりになって、防水のために接着も強くなった。薄くてキレイになるほど、直す側は大変になるんです。
今、ポケットが壊れるとしたら

1.やっぱり電池の液漏れ
前回と同じです。というか、電池が入る機械はすべてこれ。
単四2本になったぶん、初代より液漏れの被害は小さめ…と言いたいところですが、本体が小さいぶん、漏れた液が基板に届きやすいという怖さもあります。
電池ボックスと基板の距離が近いんですよ。だから、外から見て軽症でも中がやられていることがある。
2.画面の縦線
これも定番。液晶とドライバICをつなぐ部分が経年で弱ります。
ポケットの場合、初代より部品が小さいぶん、この作業はさらに繊細です。
3.ゲームボーイライトの「光らない」
ライト特有です。冷陰極管には寿命があるので、光らなくなる。
今は現代のLEDに置き換えるという手があります。消費電力も下がるので、電池のもちまで良くなる。これは改造というより延命に近いですね。
改造メモ:小さい機体ほど、腕が出る

ポケットの改造も、基本は前回と同じくIPS液晶化やシェル交換です。
ただ、本体が小さいぶん逃げ場がありません。
初代なら「まあ入るだろう」で済んだ配線の取り回しが、ポケットだとフタが閉まらなくなる。内部を少し削って逃がす、みたいな作業が必要になってきます。
だから正直、レトロゲーム改造の入門としては初代のほうが向いてます。ポケットは2台目以降がいいと思う、というのが個人的な意見です(^^)
あと地味に楽しいのがシェルの色替え。この時代の本体は、シルバー、黒、赤、黄色、透明といろいろ出ていました。中身はそのままで殻だけ替えると、まったく別の機械の顔になります。
薄くする、というのは戦いだ
この記事で伝えたかったのは、たぶんこれです。
「小さくしました」「薄くしました」って、カタログだと一行で終わるじゃないですか。
でも中を開けると、その一行のために設計者が何を捨てて何を守ったかが全部見えるんですよ。ポケットの場合は、電池のもちを捨てて、携帯性と画面の見やすさを取った。
今のスマホも、まったく同じことをやっています。薄さのために電池容量を削り、それをソフトの省電力でカバーする。イヤホン端子を捨てる。
だから、うちにバッテリー交換で来られるお客さまに僕がよく言うのが、「劣化は不良じゃなくて、寿命ですよ」ということ。
電池は必ずへたります。30年前からずっとそうです。だからこそ、交換できるうちに交換するのがいちばん安上がりなんですよね。
とくに膨らんできた電池は危険なので、これは本当に早めに相談してください。
次回は、ついに色がついたゲームボーイカラー。そして「セーブデータが消える」というレトロゲーム最大の悲劇の話をします(^^)
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