スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
昨日から、本の第Ⅱ部に入りました。今日は第11章「現場は、最高の教科書」です。
章の細かい中身は本に譲って、ここでは「仕組みは一度で完成しない。往復して育てるものだ」という1点だけを、今の僕の目線で書いてみます。
作った本人には、抜けが見えない
本には、開業して間もない頃の失敗を書きました。会議室で手順書と受付の台本とクレーム対応の流れを作り込んで、「これで十分だ」と思っていたのに、初めて新人に渡した日、その新人が手順書を手にしたまま固まってしまった、という話です。
机に向かっている間は、手が止まらないんですよね。書けば書くほど、ちゃんとした仕事をしている気分になる(笑あれは仕事をした気分であって、現場が楽になったわけではありませんでした。
いま振り返ると、あの安心感は「書いた本人が読むから」成り立っていたんですよね。僕には行間が全部見える。でも初めて読む人にとって、行間はただの空白です。

手順書に載らないのは、「その時の判断」
手順書に書けるのは、いつも起きることです。つまずくのは、いつも起きないことのほう。
たとえば、手順の途中で電話が鳴ったとき。先に来ていた人と後から来た人、どちらを優先するか。そういう場面は、たいてい手順書の外に落ちています。
手順書は「正解の道」は教えてくれますが、「道が塞がっていたときの迂回路」まではなかなか載りません。
これは仕事に限らない話だと思います。家の引き継ぎメモに「ゴミ出しは火曜日」と書いてあっても、雨の日にどうするかは書かれていない。困るのは、いつも書いていない側の場面です。

「怖いです」という一言の値打ち
本には、ナナの一言が手順書の何ページ分にもなった、と書きました。現場の人の口から出る「ここ、ちょっと怖いです」は、設計した側が一番聞きたい情報です。
同時に、一番出てきにくい言葉でもあります。出てこないのは、言う側の問題というより、聞く側の用意の問題だと僕は考えています。聞かれなければ人は黙るし、聞かれ方が怖ければもっと黙る。
だからこそ、聞く場を意識して作る必要があると思っています。「何かあります?」と漠然と聞くより、「今日、手が止まったところはどこ?」と場面を指して聞くほうが、言葉は出てきやすい。小さな工夫ですが、効きます。

拾う、直す、戻す。ここがいちばん地味
立って見ること自体は、9月の第4章で書きました。今回の話はその先です。
拾った声を直して、現場に戻す。戻したものがまたズレていたら、もう一度拾う。派手さはゼロです。でも使える形になるまでの道は、結局この往復を何回回せたかで決まる気がしています。
この往復には終わりがありません。店の数が増えても、人が入れ替わっても、お客さまの困りごとが変わっても、手順書は少しずつ現場からズレていきます。ズレることを責めるのではなく、ズレるものだと思っておく。そのほうが、直すのも早くなります。
いちばんサボりやすいのは「戻す」ところです。直した時点で終わった気になる。でも現場で動かしてみるまで、直ったかどうかは誰にも分かりません。

壊れる前提で、先に出す
会議室で方針を決めて現場に投げていた頃は、机の上できれいな仕組みが、現場に出た途端に崩れました。だから今は、最初から壊れる前提で出します。
出す。壊れる。直す。また出す。この回転が速いほど、早く本物に近づきます。ただし条件がひとつあって、壊れたときに戻れる場所を先に決めておくこと。それがないと、「壊れていい」はただの無責任になります。
アキラにも、よく「それ、現場で試した?」と聞きます。試していないうちは、まだ何も分かっていない。冷たい言い方に聞こえても、実際にそうなんですよね。耳が痛い人もいるかもしれません(汗

マニュアルは目次、本文は現場にある
誤解してほしくないのですが、マニュアルが要らないという話ではありません。ただ、それは目次です。本文は現場に書いてある。
「現場は嘘をつかない。使いにくいものは、使われない。」
そう思って、自分の設計のほうを先に疑うようにしています。現場の声がいつも正しいとは限りません。でも、疑う順番の最初は設計した自分だと決めておくと、気が楽になるんです。
うちの店の手順書にも、僕には見えない行間が、まだ残っているはずです。今日も、スタッフの手が止まったところを一つ聞くところから始めます。

明日は第12章「怒らなくていい現場は、作れる」。怒鳴ってしまった日の後悔を書きます。
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