スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは!スマホ119で専務をしています、富村レオです(^^)
据置図鑑⑪。今日はPC-FXです。
知らない人のほうが多いと思います。僕も、この連載を始めるまでは名前しか知りませんでした。
ただ、開けてみると異様に面白い機械なんですよ。基板の真ん中に、3Dのチップが載っていない。

①あの頃 ― 1994年12月、3日違いの三つ巴
発売は1994年12月23日。価格は49,800円。消費税が3%の時代で、当時は税別表示が通例です。
この年の12月は本当にすごくて、初代プレイステーションが12月3日、サターンが11月22日。そこへ3週間遅れで飛び込んだのがPC-FXでした。
結果は先に書きます。1997年1月にはオープン価格へ移り、同年6月には実売14,800円。定価の三分の一以下です。
僕は1997年12月5日生まれなので、これは生まれる約3年前(正確には2年11か月前)の機械。値札がここまで落ちきったころに、僕はまだ生まれてもいません。
②遊んでた ― ではなく、ソフトの並びから設計が読める
当時を知らないので、ハマった話は書けません。代わりに、ソフトのラインナップが設計思想をそのまま映しているのが面白いので、そこを。
バトルヒート、TEAM INNOCENT、卒業II FX 〜Neo Generation〜。この機械が得意にしていたのは、とにかくアニメがなめらかに動くことでした。
ポリゴンでぐりぐり動かす方向には、最初から行っていない。当時の売り場でこれがどう見えたかは、想像がつきます。隣にバーチャファイター2が並んでいたわけですから。

③開けてみる ― 縦置きという、家庭用初の賭け
CPUはNECのV810(μPD70732GD-25)で21.475MHz。そして目玉がHuC6271というMotion JPEGのデコーダです。当時としては異常になめらかに動画を再生できた一方、3D描画のハードウェア支援はほぼ積んでいません。
外観も異端でした。家庭用ゲーム機で初めての縦置き、タワー型。パソコンの隣に立てて置くための形です。
拡張スロットが3面にあるのも変わっていて、前面にバックアップメモリ用のFX-BMP、背面にPC-98と繋ぐ端子、底面にメインメモリの増設用。内蔵のバックアップメモリは32KBで、電池は交換式。
開けるとよく分かります。これ、ゲーム機の顔をしたパソコン周辺機器なんですよ。

④今、壊れるとこ ― 本命は電池です
症状は三つ。
- ディスクを読まない。ピックアップの劣化とレーザー出力の低下
- 内蔵バックアップ電池の液漏れによる基板の腐食。セーブが消えるだけなら軽症で、本当の敵は漏れた液がパターンを食っていくこと
- 電解コンデンサの容量抜け・液漏れ
で、この機械ならではの厄介さがひとつ。縦置きなので、漏れた液の流れる方向が横置き機と違うんです。
横置きの機械なら被害はだいたい電池の周りに広がる。ところが縦置きだと、液は重力に従って真下へ落ちていく。電池から離れた場所のパターンが切れていて、原因にたどり着くまで時間がかかる。見立てを間違えやすい機械です。
押し入れで立てたまま眠っていた個体は、特に。

⑤改造メモ ― 電池はホルダーにしてしまう
- バックアップ電池を交換し、次からは工具なしで替えられるようホルダー化しておく
- 液漏れの跡は必ず中和・洗浄。そのうえでパターンの導通をテスターで一本ずつ確認する
- ピックアップのレンズを清掃
- 電解コンデンサの交換
そして毎回書きますが、CD-ROMユニットの下にある半固定抵抗。ここは触りません。回してレーザー出力を上げても寿命を削るだけなので、うちは原則やらない方針です。
あと、直付けのボタン電池にはんだごてを当てるのも危ないやつ。密閉された電池を加熱すると、膨れて破裂します。「短時間なら平気」という話が出回っていますけど、店としては勧めません。持って来てください、そのほうが早いです。

方向は合っていた。順番だけ外した
最終的な販売台数は11万1千台。累積出荷でも、1997年9月末で29万台です。
兄貴分のPCエンジンが国内累計584万台なので、およそ50分の1。同じ会社が、同じ路線の延長で、5年でここまで落ちる。数字を並べると、けっこう怖いんですよね。
ただ、2026年のゲームを見てください。フルボイスで、ムービーだらけで、キャラがずっと喋っている。動画に賭けるという方向自体は、当たっていたんです。外したのは順序。3Dを飛ばして動画へ行った、その一点。

そして修理屋として言いたいのは、こっち。三十年前の未来的な機械を今まさに殺しているのは、動画デコーダでも縦置きの構造でもなく、小さなボタン電池が漏らした液です。
これ、うちの日常とまったく同じ話でして。電池は消耗品で、放置がいちばん高くつく。膨らんだスマホのバッテリーを押し入れに戻すのが、一番まずい選択なんですよ。バッテリー交換のページに症状の目安を書いています。料金は修理料金表のほうで。
動かない前提の本体・ソフトも査定します。スマホ買取から気軽にどうぞ(^^)
次回は据置図鑑⑫、セガサターン。起動のたびに日付を聞いてくる、あの機械の話です!
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
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