スマホ119 社長の手記
社長ブログ視点と、本音と、物語。
修理の話より、その奥の話を。息子の割れたiPhoneを自分で直した日から、沖縄で店を続けてきた僕が、現場で考えたこと・好きなモノづくりのこと・うまくいかなかった日のことまで、飾らずに書き残していきます。
手を動かした分だけ、書ける。
皆さまこんにちは!スマホ119の富村です^^)
本の第Ⅱ部、今日は第20章「「分からない」と言える空気は、設計できる」です。
うちの店で起きた中でも、特に怖かった出来事から始めます。お客さまからお預かりした大事な端末を、作業中に傷めてしまったことがありました。

原因を聞いて、言葉を失った
原因をたどっていくと、担当のスタッフは作業の途中で、手順に確信が持てなくなっていたことが分かりました。迷いながら、そのまま進めていたんです。
どうして止めなかったのか。そう尋ねると、返ってきたのは「忙しそうだったので、聞けなくて」でした。
この一言で、僕の見方が変わりました。聞けなかったのは、その人の弱さではない。聞きにくい空気を、現場がつくっていたということだから。

恐れているのは「分からない」より、その後
人が怖がるのは、実は分からないことそのものより、口にしたあとの相手の反応です。顔をしかめられないか。手を止めさせて迷惑にならないか。見る目が変わらないか。
責任感の強い人ほど、一人で解決しようとします。すると判断が遅れ、遅れたことを言い出せなくなり、状況が重くなる。能力の問題ではありません。
本に書いたことですが、僕も最初は「遠慮せず聞いてね」と声をかけていました。優しい言葉ですよね。でも、優しさだけでは、空気は動きませんでした。言葉は軽く、空気は重い。

空気は、三つの決めごとで作れる
空気というつかみどころのないものを、僕は手順に置き換えました。三つあります。
お願いではなく、仕組みで変える。それがこの章でいちばん言いたいことです!
一つ目は、声を出す場面を先に決めておくこと。決めた条件に当たったら、必ず確認する。想定外の場面では、自分だけで結論を出さない。少しでも不安なら、いったん止まる。ここまで決めておけば、「分からない」と言うことは勇気の出番ではなく、ただの手順です。
二つ目は、声を出したあとの段取りを決めておくこと。相談先は誰か。返事が来ないときは次にどうするか。待たせるお客さまへは何とお伝えするか。出口まで見えていれば、人は落ち着いて手を挙げられます。

「分からない」が、貢献になる
三つ目は、その声を記録として残すこと。個人の弱点としては扱わず、現場を良くする材料として残します。
ここが、僕にとっていちばん大きな変化でした。声を上げた人が、咎められる立場から、現場を助けた人に変わるんです。「ここは迷いやすいですね、書き足しておきましょう」と返せるようになりました。
誰かの迷いが、次の誰かの迷いを一つ減らす。そう実感できると、声を上げることへの怖さが、少しずつ薄れていきます。

新人にかけた、その一言
しばらくして、アキラが新人に話しているのが耳に入りました。手を止めることは迷惑ではなく、むしろ助かるのだ、という趣旨でした。
僕が言わせたのではなく、現場の人が、現場の言葉で伝えている。それがうれしくて、ちょっと胸が熱くなりました(笑文化というのは、こういうふうに根づくのだと思いました。
ちなみに、先日の第19章は、質問が回る仕組みの話でした。今日はその手前の、声を出しやすい空気をどうつくるか、という話です。

空気は、偶然ではできない
「空気は偶然できるもんじゃない。」本にはそう書きました。毎日くり返す行動が、少しずつ空気になっていく。だから、行動の側を組み立て直せば、空気も動きます。
言えない現場では、問題が見えないまま育って、ある日いきなり表に出ます。言える現場なら、小さいうちに拾える。
声が出る現場は、にぎやかなわけではありません。むしろ落ち着いています。止まるべきときに止まれて、止まった人を誰も責めない。その落ち着きこそ、僕が目指している形です。
ここで気をつけたのは、「分からない」と言った人を、決して特別扱いしないことです。ほめすぎもしない、責めもしない。ごく当たり前のこととして受け取る。その淡々とした繰り返しが、次に声を出す人の背中を押します。
正直に言うと、今がもう完璧かと聞かれたら、まだ胸を張れません(汗 それでも、止まった人に何と声をかけているかだけは、今も気にして見ています。
あなたの職場で誰かが手を挙げたとき、まわりから返ってくるのはどんな言葉でしょう。失敗を打ち明けてくれた人への向き合い方は、第7章の「やらかしました」の夜にも書きました。
明日は第21章「マニュアルは、守らせるものじゃない」。マニュアルが大嫌いだった僕が、何を作ったのかという話です。
本の中身はBOOKのページに。修理に出す前の不安はよくある質問にもまとめてあります。
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