スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
据置図鑑の第18回。今日は初代Xboxです。
日本での販売台数、47万台程度。
惨敗です。言い訳のしようがない数字。当時「でかい」としか言われなかった黒い箱、というのが日本での立ち位置でした。
でも今日は、その惨敗機の話を思いっきり褒めて書きます。今のゲーム機が当たり前にやっていることを、最初に決めたのはこいつだからです。

①あの頃 — 2002年2月22日、34,800円
日本での発売は2002年2月22日。北米が先で、2001年11月15日。
価格は34,800円。当時はまだ総額表示の義務がなく、税別表示が通例でした。
値下げがなかなか強烈で、2002年5月22日に24,800円、2003年11月20日には16,800円。日本市場でどれだけ苦しかったかが、値札に出ています。
日本限定の「Xbox Special Edition」もありました。半透明のブラックで5万台限定、39,800円。スーファミの殻を透明に替えた回で書いたとおり、僕はスケルトンに弱いんです(笑)
発売のとき僕は4歳。当然、リアルタイムでは何も知りません。僕がこの機械を触るのは、修理屋になってからです。
②遊んでた — 47万台に対して、27万本
正直に書きます。この機種のソフトの思い出話は、僕には無い。
代わりに、数字で語らせてください。日本での代表作のひとつがDEAD OR ALIVE 3で、こちらが日本27万本。
本体が47万台で、ソフト1本が27万本。2台に1台以上が持っていた計算です。この比率、かなり異常。
あとはHalo。海外でこのハードを背負った看板ソフトです。それから鉄騎。専用の巨大なコントローラが付いてくることで語り継がれています。

③開けてみる — 中身は、完全にパソコン
開けた瞬間の感想が、ほんとに「あ、PCだ」です。
- CPUはIntel Mobile Celeron(Pentium IIIベース)733MHz
- GPUはNVIDIA製のXGPU、233MHz
- 8GBまたは10GBのIDE接続のHDD
- DVD-ROMドライブ(Thomson/Philips/Samsungのいずれか)
- 内蔵電源
家庭用ゲーム機で初めてHDDを標準搭載したのが、この機械。そして初めてブロードバンド端子(100BASE-TX)を標準で持ったのも、この機械。
ゲーム機にネットの口が最初から付いている。2002年に、です。
コントローラは初期の大型「Duke」が有名ですけど、日本では最初から小型の「コントローラS」でした。
もうひとつ大事な話。マザーボードにv1.0〜v1.6のリビジョンがあって、中身が違います。この差が、次の持病の分かれ目です。

④今、壊れるとこ — クロックキャパシタの液漏れ
初代Xbox最大の持病、というかほぼこれ一択。
時計を保持するための小さなコンデンサ(クロックキャパシタ)が、液漏れします。v1.0〜v1.5の基板が対象で、設計の違うv1.6は対象外。
厄介なのは漏れ方です。電解液がコンデンサの真下から這い出して、周りの銅箔のパターンをじわじわ腐食させていく。しかも、押し入れで眠っているあいだも進みます。
だから持ち込まれたときには、「電源が入らない」じゃなくて「パターンが消えている」段階まで来ていることが多いんですよ。基板を見て、うわ、と言うやつです。
次点はThomson製のDVDドライブの読み込み不良とトレイ不良。そしてIDEのHDDの経年死。

⑤改造メモ — まず、あのコンデンサを外す
やることの最優先は、クロックキャパシタの撤去です。
「外して大丈夫なんですか」とよく聞かれます。大丈夫です。外して失われるのは電源を抜いているあいだの時計の保持だけで、ゲームは普通に動きます。時計のために本体が死ぬくらいなら、時計を捨てたほうがいい。
外したあとは、液漏れの跡をIPAで中和して洗浄。周囲のパターンを1本ずつ導通確認します。腐食が進んでいたらジャンパ配線で引き直す、根気の世界。
HDDは経年で必ず死にます。自分が現物として持っている本体のデータをどう残すかは、動いているうちに考える話(手段や入手先はここでは扱いません)。
そしてやってはいけないこと。液漏れした基板に通電したまま触る。そのまま電源を入れて様子を見る。どちらも腐食を一気に進めます。電解液が残った状態で電気を流すのが、いちばん止めを刺す。
異変を見つけたら、電源を入れずに持って来てください。本当にお願いしたい。

未来を全部先取りした機械が、いま起動しない理由
HDDを積んだ。ネットに常時つないだ。中身をPCにした。
2002年の日本では、身も蓋もない発想として扱われました。
それが20年後、全部正解になっている。今のゲーム機で、ストレージもネットも積んでいない機械はありません。47万台の負け方をした機械が、勝ち筋だけは全部当てていた。
で、ここからが修理屋の落ちです。
そこまで未来を見ていたこの機械が、いま押し入れで起動しない原因は、CPUでもGPUでもHDDでもない。時計を動かすためだけに載っていた、小さなコンデンサ1個です。
いちばん未来的じゃない部品が、いちばん未来的な機械を殺している。ここ、個人的にこの連載で一番好きな話かもしれません。

だから今のスマホも直せます
液漏れした電解液が銅箔を腐食させる。これ、うちが毎日やっている水没修理とまったく同じ話なんですよね。原因が海水か電解液かの違いで、基板の上で起きていることは変わらない。だから洗浄して、導通を見て、切れていたら引き直す。手順まで同じです。
毎回言いますけど、電源が入らない=終わり、ではないです。押し入れの黒い箱、処分の前にスマホ買取で査定に出してみてください。惨敗機のほうが、後から評価されることもありますから(^^)
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
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