スマホ119

専務ブログ

沖縄のスマホ修理のお医者さん

スマホ119 専務の現場ノート

専務ブログ現場から、次の119へ。

壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。

専務スマホ119 専務 富村 レオ
  • 修理歴 11年たたき上げ
  • 全 8 店舗現場を統括
  • 育てる仲間と技術
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専務の富村レオが店舗の作業台でスタッフ2人に修理技術を指導しているイラスト 背中で教えて、言葉で渡す。
日本で47万台。惨敗したXboxが決めた未来|専務の据置図鑑⑱
2026.09.24 0

こんにちは、専務の富村レオです(^^)

据置図鑑の第18回。今日は初代Xboxです。

日本での販売台数、47万台程度。

惨敗です。言い訳のしようがない数字。当時「でかい」としか言われなかった黒い箱、というのが日本での立ち位置でした。

でも今日は、その惨敗機の話を思いっきり褒めて書きます。今のゲーム機が当たり前にやっていることを、最初に決めたのはこいつだからです。

惨敗した黒い据置機の中身が今のゲーム機の当たり前を先取りしていた4コマ漫画

①あの頃 — 2002年2月22日、34,800円

日本での発売は2002年2月22日。北米が先で、2001年11月15日。

価格は34,800円。当時はまだ総額表示の義務がなく、税別表示が通例でした。

値下げがなかなか強烈で、2002年5月22日に24,800円、2003年11月20日には16,800円。日本市場でどれだけ苦しかったかが、値札に出ています。

日本限定の「Xbox Special Edition」もありました。半透明のブラックで5万台限定、39,800円。スーファミの殻を透明に替えた回で書いたとおり、僕はスケルトンに弱いんです(笑)

発売のとき僕は4歳。当然、リアルタイムでは何も知りません。僕がこの機械を触るのは、修理屋になってからです。

②遊んでた — 47万台に対して、27万本

正直に書きます。この機種のソフトの思い出話は、僕には無い。

代わりに、数字で語らせてください。日本での代表作のひとつがDEAD OR ALIVE 3で、こちらが日本27万本。

本体が47万台で、ソフト1本が27万本。2台に1台以上が持っていた計算です。この比率、かなり異常。

あとはHalo。海外でこのハードを背負った看板ソフトです。それから鉄騎。専用の巨大なコントローラが付いてくることで語り継がれています。

本体台数に対してソフト一本の販売本数の比率が高かったことを示す図

③開けてみる — 中身は、完全にパソコン

開けた瞬間の感想が、ほんとに「あ、PCだ」です。

  • CPUはIntel Mobile Celeron(Pentium IIIベース)733MHz
  • GPUはNVIDIA製のXGPU、233MHz
  • 8GBまたは10GBのIDE接続のHDD
  • DVD-ROMドライブ(Thomson/Philips/Samsungのいずれか)
  • 内蔵電源

家庭用ゲーム機で初めてHDDを標準搭載したのが、この機械。そして初めてブロードバンド端子(100BASE-TX)を標準で持ったのも、この機械。

ゲーム機にネットの口が最初から付いている。2002年に、です。

コントローラは初期の大型「Duke」が有名ですけど、日本では最初から小型の「コントローラS」でした。

もうひとつ大事な話。マザーボードにv1.0〜v1.6のリビジョンがあって、中身が違います。この差が、次の持病の分かれ目です。

初代Xboxの中身がCPUとGPUとHDDとDVDドライブというパソコン構成であることを示す図

④今、壊れるとこ — クロックキャパシタの液漏れ

初代Xbox最大の持病、というかほぼこれ一択。

時計を保持するための小さなコンデンサ(クロックキャパシタ)が、液漏れします。v1.0〜v1.5の基板が対象で、設計の違うv1.6は対象外。

厄介なのは漏れ方です。電解液がコンデンサの真下から這い出して、周りの銅箔のパターンをじわじわ腐食させていく。しかも、押し入れで眠っているあいだも進みます。

だから持ち込まれたときには、「電源が入らない」じゃなくて「パターンが消えている」段階まで来ていることが多いんですよ。基板を見て、うわ、と言うやつです。

次点はThomson製のDVDドライブの読み込み不良とトレイ不良。そしてIDEのHDDの経年死。

時計用コンデンサの液漏れが基板の銅箔パターンを腐食させていく様子の図

⑤改造メモ — まず、あのコンデンサを外す

やることの最優先は、クロックキャパシタの撤去です。

「外して大丈夫なんですか」とよく聞かれます。大丈夫です。外して失われるのは電源を抜いているあいだの時計の保持だけで、ゲームは普通に動きます。時計のために本体が死ぬくらいなら、時計を捨てたほうがいい。

外したあとは、液漏れの跡をIPAで中和して洗浄。周囲のパターンを1本ずつ導通確認します。腐食が進んでいたらジャンパ配線で引き直す、根気の世界。

HDDは経年で必ず死にます。自分が現物として持っている本体のデータをどう残すかは、動いているうちに考える話(手段や入手先はここでは扱いません)。

そしてやってはいけないこと。液漏れした基板に通電したまま触る。そのまま電源を入れて様子を見る。どちらも腐食を一気に進めます。電解液が残った状態で電気を流すのが、いちばん止めを刺す。

異変を見つけたら、電源を入れずに持って来てください。本当にお願いしたい。

液漏れした基板に通電するのは禁止で洗浄と導通確認が正しい手順だと示す図

未来を全部先取りした機械が、いま起動しない理由

HDDを積んだ。ネットに常時つないだ。中身をPCにした。

2002年の日本では、身も蓋もない発想として扱われました。

それが20年後、全部正解になっている。今のゲーム機で、ストレージもネットも積んでいない機械はありません。47万台の負け方をした機械が、勝ち筋だけは全部当てていた。

で、ここからが修理屋の落ちです。

そこまで未来を見ていたこの機械が、いま押し入れで起動しない原因は、CPUでもGPUでもHDDでもない。時計を動かすためだけに載っていた、小さなコンデンサ1個です。

いちばん未来的じゃない部品が、いちばん未来的な機械を殺している。ここ、個人的にこの連載で一番好きな話かもしれません。

未来を先取りした機械が小さなコンデンサ1個で止まっている対比の図

だから今のスマホも直せます

液漏れした電解液が銅箔を腐食させる。これ、うちが毎日やっている水没修理とまったく同じ話なんですよね。原因が海水か電解液かの違いで、基板の上で起きていることは変わらない。だから洗浄して、導通を見て、切れていたら引き直す。手順まで同じです。

据置機の相談はPS修理、費用の目安は修理料金表をどうぞ。

毎回言いますけど、電源が入らない=終わり、ではないです。押し入れの黒い箱、処分の前にスマホ買取で査定に出してみてください。惨敗機のほうが、後から評価されることもありますから(^^)


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