スマホ119

専務ブログ

沖縄のスマホ修理のお医者さん

スマホ119 専務の現場ノート

専務ブログ現場から、次の119へ。

壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。

専務スマホ119 専務 富村 レオ
  • 修理歴 11年たたき上げ
  • 全 8 店舗現場を統括
  • 育てる仲間と技術
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専務の富村レオが店舗の作業台でスタッフ2人に修理技術を指導しているイラスト 背中で教えて、言葉で渡す。
X68000の電源が入らない。液漏れと、開けない理由|専務の据置図鑑・パソコン編②
2026.10.13 0

どうも、レトロゲーム好きの専務です(笑)

今日は据置図鑑のパソコン編、2台目。シャープのX68000です。テーマは、映る・映らないより手前の電源とコンデンサです。押し入れから出したばかりなら、まだ電源は入れないでください。理由は④に書きます。

押し入れで見つけた古いパソコンの電源を入れかけたお客さんを、専務が止めて相談をすすめる4コマ漫画

①あの頃 — 1987年3月、発売時369,000円

発売は1987年3月。初代のCZ-600Cは、発売時の価格が本体だけで369,000円、ディスプレイは別売。ゲーム機の図鑑の感覚だと、桁がひとつ違います(笑)

シリーズは1993年のX68030まで、合計20機種。初代は僕が生まれる約10年8か月前なので、今日は資料と、修理業者さんや愛好家の記録で追いかけた話です。

同じ年の秋、沖縄の海邦国体の最終日に出たのがPCエンジン。PCエンジンの回も液漏れの話で、今日はその親戚です。

②遊んでた — 移植も、作り直しも本気

生まれる前の3本ですが、今見ても唸ります。

  • グラディウス(1987)— 初代に付属した、アーケードの横シューティングの移植。1面の火山も3面のモアイも、見た目はアーケード版とほぼ変わらないと評され、店頭のデモにも使われました
  • 悪魔城ドラキュラ(1993)— アーケード移植ではなく、ディスクシステム版を作り直したリメイク。シモン・ベルモンドがムチで戦いながら城を進む横スクロールで、専門誌『Oh!X』のゲーム大賞をとったとされます
  • ストリートファイターII ダッシュ(1993)— 大ヒットした対戦格闘のアーケード版の移植。カプコンの家庭用ジョイスティックをつなぐアダプタも付いていました。フロッピーなので、キャラクターやステージが変わるたびにディスクの入れ替えが要ったそうです
1980年代の夜の店頭で、ツインタワー形のパソコンの横のモニターがシューティングゲームを映している情景イラスト

③開けてみる — 左右2本の塔と、その下の電源

左右2本の塔が向き合う、通称「マンハッタンシェイプ」。手前には5インチのフロッピーが2基。差し込むと自動で引き込み、ボタンで自動で出てくる。

愛好家の記録によると、中はこう。

  • 右の塔にメイン基板、左の塔に下部基板、その下に電源装置
  • 電源装置の中に、ある資料ではアルミ電解コンデンサが十数個
  • 初代と、翌年の後継機ACEのメイン基板には、時計と設定を保つ充電式のニッカド電池
左右2本の塔の側面を外したパソコン本体で、基板2枚と下の電源装置、小さな電池の位置を示す内部図

④今、壊れるとこ — 主役は電源のコンデンサ

1.電源が入らない — まず疑うのは電源のコンデンサ

電解コンデンサ(電気をためて、電圧をならす部品)は、中の液が少しずつ抜けていく、もともと寿命のある部品です。40年近くたった今は、どれも寿命の時期なんですよね。

やっかいなのが、1980年代の終わりから2000年ごろの一部のコンデンサ。「四級塩」という電解液が封のゴムを侵して、漏れやすかったとされます。愛好家がまとめた電源修理の冊子では、X68000の電源に四級塩の品が入ったのはACEの前期あたりから。初代に入っているかは分かりませんでした。

漏れた液は電気を通すので、基板の上でショートや腐食を起こします。部品が焼けたり、ひどいと基板が炭になって穴が開いたりすることも。電源が入りにくい、変なにおいがする。そう感じたらコンセントを抜いて、もう入れ直さないでください。入れるたびに傷が広がることがあります。

電源の電解コンデンサが膨らんで液が漏れ、ひどいと基板が焦げて穴が開くこともある流れを3段階で示す図

電源装置は、開けないでください。MSXの回にも書きましたが、何度でも書きます。

中にはコンセントの100Vが入り、変換したあとも90〜130Vが出ている所がある、と冊子にあります。しかもコンデンサは、抜いて1日ほど置いても電気が戻って残っていることがある、と冊子は警告しています。漏れた液も、人の体に有害なんですよね。

「抜いたから安全」も「しばらく置いたから安全」も通じない場所なんです。

コンセントを抜いても電源のコンデンサに電気が残ることがあるので、電源の箱を開けないことを示す注意図

2.ランプは点くのに画面が出ない — 基板の電池の液漏れのことも

初代とACEのニッカド電池が漏れると、近くのクリスタル発振器(タイミングを作る部品)が錆びて、起動しなくなることがあります。電池がただ寿命なだけなら、日付や設定が電源を切るたびに消える、という出方。今の液晶に「範囲外」と出るだけなら、⑤の映像の話かもしれません。

液漏れは放っておくほど広がるので、早めに相談を。かといって、自分で側面のカバーを外して電池をむしり取るのはNG。配線を傷めやすいんです。レトロ機の電池の回もどうぞ。

基板の電池から漏れた液で近くの発振器が錆び、ランプだけ点いて画面が出なくなることを示す図

3.フロッピーがすぐ出てくる — ドライブの中

修理業者さんの記録にある原因は、ドライブの中のグリスの固まり、ドライブ基板のコンデンサの液漏れ、ヘッドの汚れやすり減り。大事なディスクで何度も試さない、無理に押し込まない、潤滑スプレーを吹かない。開けずに相談を。

⑤改造メモ — 愛好家の定番

X68000の整備で、よく名前が出るのはこの3つ。

  • 電源のコンデンサの総取り替え。1つ替えて直っても、しばらくすると別の1つが壊れる。だから全部替える、というのが冊子の考え方
  • ACアダプタ化。内蔵の電源装置を使わず、外付けのACアダプタで動かす整備品があります
  • 映像。画面のモードで15/24/31kHzと周波数が変わるので、多くの液晶では映りません。対応の液晶か、対応のスキャンコンバーターを通すのが定番

上の2つは電源の作業。手順は書かないので、自分ではやらないでください。

個人的には、ACアダプタ化の発想が好きです。弱い所を、丸ごと外に出す。潔いんですよ(笑)

壊れる場所の考え方は、スマホと同じ

X68000の主役は、電源のコンデンサと基板の電池。スマホも、年月で先に弱るのはやっぱり電池なんですよね。

電源が入らないスマホも、何度も試す前に一度見せてください。中のデータが心配ならデータ復元のページもどうぞ。電池のへたりはバッテリー交換、料金は修理料金表で。

うちの修理メニューに、X68000はありません。だから直せますとは約束できない。でも「押し入れから出てきたけど、どうしよう」の相談なら聞かせてください。守ってほしいのは3つだけ。

  • 電源を入れる前に相談(入れてしまったら、もう入れ直さない)
  • 本体も電源の箱も開けない
  • 漏れた液や青緑の錆に素手で触らない

重い本体を運ぶ前に、まずはお近くの店舗に相談してください(^^)

次回はPS5のコントローラー。スティックが勝手に動く話です。


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