スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
昨日のMSXは、いろんなメーカーが同じ規格でパソコンを作った話でした。今日はその逆向き。同じ中身の機械が、海を渡ったら別の顔になった話です。題材はNES、海外版のファミコン。
主役は、電源を入れるとランプと画面が1秒おきにパカパカして、ゲームが始まらない赤いランプの点滅です。

①あの頃 — 1985年、ロボットを連れて海を渡った
NESは、ファミリーコンピュータの海外版。北米では1985年に一部の地域で先に出て、翌1986年に全米へ広がりました。
売り出し方が面白くて。北米ではR.O.B.というロボットのおもちゃを付けています。1983年に北米のゲーム市場がいちど崩れたあとで、「おもちゃ」として店に置いてもらう作戦だった、と言われています。前から差し込むビデオデッキ風の形も、ゲーム機っぽさを消す狙い。1987年には北米でいちばん売れたおもちゃになりました。作戦、当たってますよね(笑)
もちろん僕はまだ生まれていないので、今日は資料を読み込んだ側として書きます。

②遊んでた — じゃなくて、資料で知った名作
名作として語られるのがダックハント。光線銃で画面のカモを撃つゲームで、ブラウン管の光り方を当てにした仕組みなので、今の液晶テレビでは当たりません(9月8日の回に詳しく書きました)。
個人的に面白いと思うのは、北米版のスーパーマリオブラザーズ2の成り立ち。日本の「2」とは別のゲームで、「夢工場ドキドキパニック」をマリオたちに差し替えたものです。のちに「スーパーマリオUSA」として日本へ逆輸入されました。名前が同じでも中身が違う。海外版って、そういう世界なんですよね。
③開けてみる — 資料で見る、ファミコンとの違い
分解した人たちの記録や資料によると、頭脳はファミコンと同じ系統の8ビットCPU。違うのは、まわりです。
- カセットの端子:ファミコンは60ピン、NESは72ピン。ロックアウト用の4本と底の拡張端子への10本が増え、カセットから音を戻すピンは無くなっています
- 差し込み方:少し下向きに奥まで入れて、最後に押し下げて寝かせる方式
- 錠のチップ:本体にロックアウトチップが入っている。ファミコンには無い部品
- 映像:最初から黄色・白のピンジャック付き。今のテレビへの映し方はテレビにつなぐ全ルートの回と同じ考え方です

④今、壊れるとこ — 赤いランプが1秒おきに点滅する
冒頭の点滅の正体は、ロックアウトチップ「10NES」です。
本体に「錠」、カセットに「鍵」として同じチップが入っていて、電源を入れると同じ時計で同じ計算を走らせ、答えを照らし合わせる。任天堂が1985年に出願した特許に書いてある仕組みで、目的は許可を受けていないソフトを動かさないこと。答えが合わないと、錠のチップが1秒に1回リセットをかけ続けます。ランプと画面が落ちて、また点く。これが点滅。

で、点滅の多くは、怪しいソフトのせいではなく接触不良です。
72ピンのバネは、差している間ずっと押しつぶされ、抜き差しのたびに曲げ戻される。何十年もたてば張りが抜けます。しかもこの差し込み方は、入れるときに接点がこすれて汚れが落ちる効果が小さく、汚れもたまりやすい。鍵との通信が途切れて、錠が「鍵が無い」と判断するわけです。
チップは壊れていない。仕組みどおりに働いて、点滅しているんです。真面目すぎて、ちょっと切ない(笑)
もうひとつ。鍵の種類は地域でも違って、北米用と欧州用は別物。地域違いのソフトを挿すと、接触が正常でも点滅します。見分け方の目安はこう。
- どのソフトでも点滅する。押し下げ方で映ったり映らなかったりする → 本体の72ピン側
- 特定のソフトだけ点滅する → そのカセットの端子側
- 海外で買ったソフトだけ点滅する → 地域違い。故障と決めつけない

自分でできるのは、同じ地域の別のソフトで試すことと、カセット側の端子の掃除まで(無水エタノールを含ませた綿棒で一方向に軽く拭き、乾いてから挿す。詳しくはカセットに息を吹く回)。それでも点滅するなら本体側なので、開けずに相談してください。
紙やすりでこする(接点を傷めます)、金属磨きを使う(金メッキが落ちます)、映るまで何度も強く押し込み直す、はやめてください。息を吹く話はファミコンの回に書いたので、今日は省きます(笑)
⑤改造メモ — の前に、沖縄で使うための電気メモ
弱ったバネは掃除では戻らないので、本体側は専門の店の領分です。開ける作業なので手順は書きませんし、地域の壁を越える改造も扱いません。代わりに、海外版を沖縄で使うときのメモを。
- 周波数:沖縄も北米も60Hzで、同じ
- 電圧:日本は100V、北米は120V。コンセントで違うのは電圧だけ(アダプタの中身は下の話)
- テレビの方式:日本と北米はどちらもNTSC。欧州版はPALで、CPUも少し遅い
いちばん気をつけてほしいのがACアダプタ。資料によると、NESの純正は120V用で交流の9Vを、日本のファミコン用は100V用で直流の10Vを出します。なのでNESのアダプタを日本のファミコンやスーファミに挿すのは、絶対にやめてください。直流が前提の本体を傷めます。NESのアダプタを日本のコンセントで使うのも、想定とは違う電圧。動いても余裕が減った状態なので、使い続ける前に一度ご相談ください。挿す前に、銘板の INPUT と OUTPUT(AC か DC か)を読む。まずはそこから。

だから、スマホも切り分けてから直します
NESの点滅って、修理の考え方そのものなんですよ。光っているのは「壊れた」ではなく「話が通じない」のサイン。出方を順番に見れば、途切れた場所が分かる。
スマホも同じで、充電できない=バッテリーの寿命、とは限りません。ケーブルか、充電器か、充電口の接点か。切り分けてから手を入れます。海外で買った充電器も、使う前に銘板の INPUT を見てください。
NESのような海外版は、うちの修理メニューには載っていません。でも、レトロ機の相談は受けています。直せるとお約束はできませんが、押し入れの一台、まずは見せてください。ゲーム機修理のページか、お近くの店舗へ。スマホの不調は修理料金表からどうぞ(^^)
次回、明日の土曜日は、実話の連載「父と、機械と、沖縄と」の第5話。父の動画に残っていた、カートの後日談です。
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
画面割れ・バッテリー・水没・データ復旧など、お気軽にご相談ください(^^)
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