スマホ119

専務ブログ

沖縄のスマホ修理のお医者さん

スマホ119 専務の現場ノート

専務ブログ現場から、次の119へ。

壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。

専務スマホ119 専務 富村 レオ
  • 修理歴 11年たたき上げ
  • 全 8 店舗現場を統括
  • 育てる仲間と技術
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専務の富村レオが店舗の作業台でスタッフ2人に修理技術を指導しているイラスト 背中で教えて、言葉で渡す。
海外版ファミコンNESの赤ランプ点滅、多くは接触不良です|専務の据置図鑑・海外編
2026.10.09 0

こんにちは、専務の富村レオです(^^)

昨日のMSXは、いろんなメーカーが同じ規格でパソコンを作った話でした。今日はその逆向き。同じ中身の機械が、海を渡ったら別の顔になった話です。題材はNES、海外版のファミコン。

主役は、電源を入れるとランプと画面が1秒おきにパカパカして、ゲームが始まらない赤いランプの点滅です。

1秒おきに赤いランプが点滅する灰色の海外版ゲーム機について、専務が鍵と錠の仕組みを説明する4コマ漫画

①あの頃 — 1985年、ロボットを連れて海を渡った

NESは、ファミリーコンピュータの海外版。北米では1985年に一部の地域で先に出て、翌1986年に全米へ広がりました。

売り出し方が面白くて。北米ではR.O.B.というロボットのおもちゃを付けています。1983年に北米のゲーム市場がいちど崩れたあとで、「おもちゃ」として店に置いてもらう作戦だった、と言われています。前から差し込むビデオデッキ風の形も、ゲーム機っぽさを消す狙い。1987年には北米でいちばん売れたおもちゃになりました。作戦、当たってますよね(笑)

もちろん僕はまだ生まれていないので、今日は資料を読み込んだ側として書きます。

1980年代の海外のおもちゃ売り場の棚に、ビデオデッキ風の灰色のゲーム機と小さなロボットのおもちゃが並ぶ情景イラスト

②遊んでた — じゃなくて、資料で知った名作

名作として語られるのがダックハント。光線銃で画面のカモを撃つゲームで、ブラウン管の光り方を当てにした仕組みなので、今の液晶テレビでは当たりません(9月8日の回に詳しく書きました)。

個人的に面白いと思うのは、北米版のスーパーマリオブラザーズ2の成り立ち。日本の「2」とは別のゲームで、「夢工場ドキドキパニック」をマリオたちに差し替えたものです。のちに「スーパーマリオUSA」として日本へ逆輸入されました。名前が同じでも中身が違う。海外版って、そういう世界なんですよね。

③開けてみる — 資料で見る、ファミコンとの違い

分解した人たちの記録や資料によると、頭脳はファミコンと同じ系統の8ビットCPU。違うのは、まわりです。

  • カセットの端子:ファミコンは60ピン、NESは72ピン。ロックアウト用の4本と底の拡張端子への10本が増え、カセットから音を戻すピンは無くなっています
  • 差し込み方:少し下向きに奥まで入れて、最後に押し下げて寝かせる方式
  • 錠のチップ:本体にロックアウトチップが入っている。ファミコンには無い部品
  • 映像:最初から黄色・白のピンジャック付き。今のテレビへの映し方はテレビにつなぐ全ルートの回と同じ考え方です
大きなカセットを前から差し入れて押し下げ、端子の下のバネ状の接点を押しつぶして接続する仕組みを横から見た図解

④今、壊れるとこ — 赤いランプが1秒おきに点滅する

冒頭の点滅の正体は、ロックアウトチップ「10NES」です。

本体に「錠」、カセットに「鍵」として同じチップが入っていて、電源を入れると同じ時計で同じ計算を走らせ、答えを照らし合わせる。任天堂が1985年に出願した特許に書いてある仕組みで、目的は許可を受けていないソフトを動かさないこと。答えが合わないと、錠のチップが1秒に1回リセットをかけ続けます。ランプと画面が落ちて、また点く。これが点滅。

本体の錠のチップとカセットの鍵のチップがやりとりし、途切れると画面とランプが点滅することを示す図解

で、点滅の多くは、怪しいソフトのせいではなく接触不良です。

72ピンのバネは、差している間ずっと押しつぶされ、抜き差しのたびに曲げ戻される。何十年もたてば張りが抜けます。しかもこの差し込み方は、入れるときに接点がこすれて汚れが落ちる効果が小さく、汚れもたまりやすい。鍵との通信が途切れて、錠が「鍵が無い」と判断するわけです。

チップは壊れていない。仕組みどおりに働いて、点滅しているんです。真面目すぎて、ちょっと切ない(笑)

もうひとつ。鍵の種類は地域でも違って、北米用と欧州用は別物。地域違いのソフトを挿すと、接触が正常でも点滅します。見分け方の目安はこう。

  • どのソフトでも点滅する。押し下げ方で映ったり映らなかったりする → 本体の72ピン側
  • 特定のソフトだけ点滅する → そのカセットの端子側
  • 海外で買ったソフトだけ点滅する → 地域違い。故障と決めつけない
点滅がどのソフトでも出るか、特定のソフトだけか、海外のソフトだけかで原因を切り分ける見分け方の図解

自分でできるのは、同じ地域の別のソフトで試すことと、カセット側の端子の掃除まで(無水エタノールを含ませた綿棒で一方向に軽く拭き、乾いてから挿す。詳しくはカセットに息を吹く回)。それでも点滅するなら本体側なので、開けずに相談してください。

紙やすりでこする(接点を傷めます)、金属磨きを使う(金メッキが落ちます)、映るまで何度も強く押し込み直す、はやめてください。息を吹く話はファミコンの回に書いたので、今日は省きます(笑)

⑤改造メモ — の前に、沖縄で使うための電気メモ

弱ったバネは掃除では戻らないので、本体側は専門の店の領分です。開ける作業なので手順は書きませんし、地域の壁を越える改造も扱いません。代わりに、海外版を沖縄で使うときのメモを。

  • 周波数:沖縄も北米も60Hzで、同じ
  • 電圧:日本は100V、北米は120V。コンセントで違うのは電圧だけ(アダプタの中身は下の話)
  • テレビの方式:日本と北米はどちらもNTSC。欧州版はPALで、CPUも少し遅い

いちばん気をつけてほしいのがACアダプタ。資料によると、NESの純正は120V用で交流の9Vを、日本のファミコン用は100V用で直流の10Vを出します。なのでNESのアダプタを日本のファミコンやスーファミに挿すのは、絶対にやめてください。直流が前提の本体を傷めます。NESのアダプタを日本のコンセントで使うのも、想定とは違う電圧。動いても余裕が減った状態なので、使い続ける前に一度ご相談ください。挿す前に、銘板の INPUT と OUTPUT(AC か DC か)を読む。まずはそこから。

交流を出す海外版のアダプタを日本のゲーム機に挿すと傷め、直流を出す日本用のアダプタなら合うことを示す注意の図解

だから、スマホも切り分けてから直します

NESの点滅って、修理の考え方そのものなんですよ。光っているのは「壊れた」ではなく「話が通じない」のサイン。出方を順番に見れば、途切れた場所が分かる。

スマホも同じで、充電できない=バッテリーの寿命、とは限りません。ケーブルか、充電器か、充電口の接点か。切り分けてから手を入れます。海外で買った充電器も、使う前に銘板の INPUT を見てください。

NESのような海外版は、うちの修理メニューには載っていません。でも、レトロ機の相談は受けています。直せるとお約束はできませんが、押し入れの一台、まずは見せてください。ゲーム機修理のページか、お近くの店舗へ。スマホの不調は修理料金表からどうぞ(^^)

次回、明日の土曜日は、実話の連載「父と、機械と、沖縄と」の第5話。父の動画に残っていた、カートの後日談です。


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